【楽天 コーポレート統括部品質管理部品質向上課 半井大輔ヴァイスシニアマネージャー、ボーケン品質評価機構 執行役員 繊維事業本部 三輪克司本部長】〈「楽天市場」品質管理強化の狙いは?〉/正しい表示で期待との差分減らす

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楽天・半井大輔ヴァイスシニアマネージャー(写真右)とボーケン品質評価機構・三輪克司本部長

楽天・半井大輔ヴァイスシニアマネージャー(写真右)とボーケン品質評価機構・三輪克司本部長

 楽天がボーケン品質評価機構と連携し、「楽天市場」の品質管理を強化する取り組みについて、楽天のコーポレート統括部品質管理部品質向上課・半井大輔ヴァイスシニアマネージャーと、ボーケン品質評価機構の執行役員繊維事業本部・三輪克司本部長に狙いを聞いた。
 ─今回の取り組みの経緯は。
 半井 ネットで物を買うこと自体は当たり前になっているが、まだ不安を持っている人がいる。実際の商品を確認できないことに不安感を抱いている人も多い。ネット通販では情報をしっかり掲載することができる。その利点を生かし、ユーザーに正しい情報を提供できれば、期待との差分を減らすことができると考えた。
 大手企業は自社で品質の基準を設けていたり、仕入れ商品を検査したりしているが、中小企業は品質の確認ができていなかったり、表示ルールを知らなかったりする場合もある。楽天が品質管理において出店者さまをサポートさせていただきたいと考えた。正しい表示ができれば、ユーザーが期待通りの商品を手にすることができ、レビュー評価が上がったり、リピート顧客が増えたりするだろう。
 ─ボーケン品質評価機構と提携することにしたのはなぜ。
 半井 ボーケン品質評価機構の検査レポートを掲載している出店者さまがいたのがきっかけ。不適正な表示を減らすだけでなく、商品の品質を裏付ける情報を出すことで、よりユーザーの信頼を得ることができると考えた。
 ─ボーケン品質評価機構で品質確認できる商品は。
 三輪 当機構は企業や消費者の要請に応じて商品を検査し、性能評価などを提供している。機関や公共団体とともにガイドラインを作成したり、規格作成を支援したりもしている。もともと、繊維商品の検査を手掛けていたが、現在ではインテリアや雑貨など幅広く対応している。今回の楽天との取り組みでは、品質表示法など法規制に基づき、モニタリングや検査をしていくことになるだろう。
 ─どのように品質確認を行う商品を選別するのか。
 半井 当社が定期的にモニタリングするだけでなく、お客さまから寄せられた「着心地に違和感がある」「使用2回目で壊れた」などの声を基にチェックしていく。ボーケン品質評価機構とは定期的に場を設け、品質表示に疑義がある商品は試買し、検査を行う。品質確認結果に応じて個別に改善指導を行う。
 三輪 不適正表示には、意図的に表示を変えているケースだけでなく、仕入れ先にだまされているケースや表示方法を正しく理解できていないケースもある。正しく指導を行うことで店舗の意識も高まる。
 ─ユーザーにも今回の取り組みをアピールするのか。
 半井 プッシュしてアピールする取り組みではないと思っている。残念な経験をするユーザーを減らすのが目的。例えば、ユーザーの不満の声に応じて検査した結果、商品の品質表示に問題があり、返品対応するようなこともあると思う。安心して買い物できる体験を提供し続けることで、ユーザーに「楽天は安心だよね」という認識が広がればうれしい。さらに店舗さまの意識が高まることで、楽天市場だけでなく他の販売チャネルでの品質表示も改善されれば、EC業界全体の信頼性向上にもつながるだろう。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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