GMOペイメントゲートウェイは、BtoB—EC(企業間取引)向けの支援を強化している。法人向けECの売掛債権を買い取り、売掛金を早期資金化する「GMO BtoB早払い」と、売掛金の未回収を保証する「GMO BtoB売掛保証」を展開。後払い決済サービス「Paid(ペイド)」を提供するラクーンフィナンシャルと共同で、ペイド加盟企業向けの早期資金化サービスの提供を始め、BtoBサービスの拡充を図っている。イノベーション・パートナーズ本部・戦略事業統括部・企業間決済事業部の小川康秀部長に聞いた。
─BtoB—EC向けのサービスについて聞きたい。
「GMO BtoB早払い」は、法人向けEC事業者が保有する売掛債権を当社が買い取ることで、入金期日よりも早期に売掛金を資金化できるサービスだ。最短3〜5営業日で入金する。企業間取引の掛け売りに対応しながら、売掛金の入金前に資金調達が可能。代金の未回収リスクを軽減できるほか、キャッシュフローの改善、資金繰りの改善・向上が図れることが特徴だ。
「GMO BtoB売掛保証」は、売掛金の未回収が発生した場合、当社がBtoB—EC事業者へ保証金を支払うことで、売掛金を保証するというもの。代金の未回収リスクの軽減や前金交渉、督促業務といった与信管理業務の削減、新規取引拡大が可能になる。
当社では、総合決済サービス「PGマルチペイメントサービス」の提供やBtoB用ショッピングカートとの提携を通じた決済サービスの展開のほか、BtoB—EC取引に最適な決済手段をまとめた「BtoB—EC向け決済パッケージ」を推進してきた。BtoB市場に対しても決済サービスや金融関連サービスを提供することで貢献していくことが狙いだ。
─サービスを開始してからこれまでの状況は。
開始以降、BtoB—ECを取り組んでいる企業からの問い合わせが順調に増えている。「早払い」に関しては、短期的な資金調達に課題を抱える企業からのニーズが高い。「売掛保証」に関しては、新規取引をする場合にニーズがあることが問い合わせのやり取りの中で感じている。
新規取引の場合は、信用面において一定の回収リスクも伴うことから、ニーズがさらに高まると期待をしている。例えば、ネットショップを対象に卸売りを行う問屋やメーカーのように、実際に会って担当者と交渉する「対面」ではなく、会わずに取引を行う「非対面」の形が増えていくと見ている。
─実際に活用している企業はどのような使い方をしているのか。
「早払い」の場合、雑貨やアパレルをネットショップに卸している輸入商社では、セールなどで注文が集中する時に、早期に資金化する仕組みを活用し、仕入れの資金調達に生かしている。銀行などの金融機関では、前年実績をもとに融資審査するため、急な融資には対応できないケースもあるようだ。
─BtoB—ECの市場性についてはどうみる。
業種を問わず、人材不足に課題を抱える企業が多く、電話やFAXなどのアナログで行っている受発注業務の効率化が進んでいく中で、卸売りにECを取り入れる企業が目立ってきた。潜在的な需要はかなり期待でき、当社の導入事例をどんどん普及させていく取り組みが重要だと考えている。
今後、小ロットで仕入れたいネットショップと、小ロットで卸をしたいが新規取引先の未回収リスクを軽減したい企業との取り引きに、当社のサービスで課題を解決していきたい。
19年も市場のニーズを捉えながら開発を進め、BtoBの領域の業容を拡大していきたい。
【BtoB—EC】 〈インタビュー〉GMOペイメントゲートウェイ イノベーション・パートナーズ本部・戦略事業統括部・企業間決済事業部 小川康秀部長/市場のニーズを捉え、BtoBの業容拡大へ
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