〈映像ソフト・動画配信EC事業〉 海外から顧客を開拓/スマホ強化や現地企業に出資

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ネオ・ウィングの海外向け通販サイト

ネオ・ウィングの海外向け通販サイト

DVDなどの映像ソフトや動画配信を扱うEC事業者が、海外市場で新規顧客の開拓を進めている。映像ソフトのECを手掛けるネオ・ウィング(本社東京都、片桐文夫社長)は昨年、スマートフォン(スマホ)への対応を重視したデザインにサイトを刷新した。スマホ普及率が高い海外エリアからの閲覧を考慮したためだ。アニメのDVDなどを企画、販売するアニプレックス(本社東京都、植田益朗社長)は4月24日、フランスの映像配信会社に出資し海外向け動画配信で協業すると発表した。同社は昨年11月、海外向け映像配信会社アニメコンソーシアムジャパンの設立に参画するなど、海外顧客の開拓を図っている。国内映像ソフト市場は縮小傾向が続いており、国内での業容拡大は困難と判断。海外市場並びに顧客の開拓によって収益確保を狙う。

縮小続く国内市場

 国内における映像ソフト市場は縮小が続いている。一般社団法人日本映像ソフト協会(事務局東京都、桐畑敏春会長)が4月28日に発表した調査結果によると、レンタルを除いた14年の国内映像ソフトによる売上高は、前年比5・9%減の2287億円。ほぼ横ばいだった13年を除くと、10年以降減少傾向が続いている。
 国内映像ソフト市場の縮小を背景に、海外から新規顧客開拓を図るEC事業者が増えている。ネオ・ウィングは98年から、海外向けのECサイトを運営。5月初旬までに、海外向けECサイトのユニークユーザー数は月間100万人を突破した。
 同社によると、海外では地域によって映像ソフトの規格に違いがあったという。しかし近年は、全ての規格に対応した再生機器が普及したことから国内仕様のDVDソフトをそのまま販売できる。
 ネオ・ウィングの14年10月期における海外向け映像ソフトの売上高は前期比約10%増となり、海外向け映像ソフトの販売数が増加している。
 同社は昨年、国内と海外向けECサイトのデザインを刷新した。スマホでの閲覧を重視したデザインに変更。海外ではPCよりスマホが普及している地域も多く、購入しやすいサイト環境に整えることで顧客の定着化につなげるのが目的だ。
 映像ソフト販売に加え、アニメといったコンテンツを制作する事業者は、海外に向けた動画配信によって顧客開拓を進めている。
 映像コンテンツの権利を持つバンダイナムコホールディングスとアニプレックス、広告代理店のアサツー ディ・ケイの3社は昨年11月、海外向けの動画配信を手掛けるアニメコンソーシアムジャパン(本社東京都、鵜之澤伸社長)を設立。4月から多言語字幕に対応した有料動画の配信を始めた。
 アニプレックスはこのほか、フランスの映像配信事業者ワカニムに出資。フランス語圏を中心に動画配信事業を拡充していく。ワカニムへの出資金額は「公表を差し控えたい」(アニプレックス・ライセンス部)としている。
 有料配信やデータ販売による動画のEC市場規模は、国内でも需要が拡大している。日本映像ソフト協会の調査によると、14年の国内有料動画配信および動画データ販売の市場規模は、前年比2・5%増の614億円だった。
 各EC事業者は国内動画市場の拡大に伴い、動画再生用サイトやスマホアプリなど、動画ECのインフラ整備を進めている。字幕の追加といった国内での作業を応用することで、海外向け動画配信の環境も整えていく方針だ。

(続きは日本ネット経済新聞 5月14日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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