西友がDeNAと共同で13年6月から開始したネットスーパーとECを組み合わせたオンラインショッピングサイト「SEIYUドットコム」が好調だ。西友が単体で展開してきたネットスーパーと比較すると、売上高と会員数はそれぞれ1・5倍になった。会員数は100万人を突破している。スマホからの購入比率を引き上げるため、4月16日に、初のモール出店となる「auショッピングモール」での販売にも乗り出した。ECとの融合をさらに進めて消費者のニーズを取り込み、15年12月期の売上高は前年比40%増を目指す。
「まだまだ大きな成長の可能性がある」
西友のドットコム事業本部ディマンド・クリエーション・シニア・ダイレクターの野村佳史氏は、ネットスーパー事業に現状についてこう話した。
13年6月にリニューアルした「SEIYUドットコム」は現在、全国14都府県113店舗に展開している。ネットスーパーは店舗で商品をピックアップし、店舗から約5キロ圏内のエリアに自社便で配送している。配送エリア外は配送センターから宅配便を使って対応するECの仕組みを採用。西友ではこれを「ハイブリッド型」と説明している。
首都圏を中心に注文数を増やしている。働く母親の増加や高齢化を背景に、食品や日用品をネットで購入できるネットスーパーの需要は拡大。「店舗同様に『EDLP(毎日低価格)』に対する支持は大きい」(野村氏)と話す。
低価格商品に対するニーズをネットで取り込んだほか、13年10月から医薬品もネットサービス対応商品に追加して利便性を高めた。
ネットスーパーでは受注件数を上限設定している企業が大半だ。受注件数がオーバーするのを防ぐため、時間帯ごとに上限を設定しているが、これにより取りこぼしがあるのが現状だ。いかに受注件数の対応力を引き上げていくかが各社の課題になっている。
英グループ企業事例を輸入
西友では受注に関するこうした課題を解決するため、親会社のウォルマートの取り組みを参考にしている。グループ企業の英流通大手アズダ社が運用している事例を取り入れた。
受注業務の改善を図るために、14年12月からは店頭で商品をピックアップするスタッフに携帯端末「ハンディターミナル」=写真上=を持たせている。店頭でピックアップする際に、店内の最適なピックアップルートが端末に表示され、業務効率を高めた。初心者のスタッフでも商品を効率よくピックアップすることができ、時間短縮を図った。ピッキングミスも減っているという。15年12月期中にピッキングの効率性を2割向上させるのが目標だ。
英アズダ社が展開している専用ロッカーで商品が受け取れる仕組みも15年3月に導入した。
名称は「うけとロッカー」。ユーザーがネットで商品を注文した際に指定したパスワードを入力すると、専用ロッカーから商品を受け取ることができる=写真下。
長野県内の店舗では、来春改装するタイミングに合わせ、駐車場に専用ロッカーを配置。屋根も取り付けて、雨の日でも取り出しやすくした。生鮮食品を含む約1万5000品目に対応する。
現在は試験的な取り組みだが、首都圏でも今年中に導入を始める計画だ。
(続きは日本ネット経済新聞 4月30日・5月7日号で)
〈「SEIYUドットコム」が好調〉 売上、会員数が1.5倍に/スマホ需要を狙い、auモール出店も
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