政府官邸が主導するデジタル市場競争会議(依田高典座長)は1月28日、大手ECモールやアプリストアを対象とする規制法案の概要を固めた。対象となるプラットフォームの運営事業者に取引条件の開示や運営状況のレポート提出を義務付け、電子商取引の透明性と公正性を高めるのが狙い。検討していた「不当行為の禁止」に関しては、法案に盛り込むことを見送った。
デジタル市場競争会議は、「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案(仮称)」の今国会での提出を目指し、規制内容の検討と具体化を進めている。
大規模なECモールやスマホのアプリストアを、「特定デジタル・プラットフォーム(特定DPF)」と政令で定め、法案による規制の対象とする。
「特定DPF」の指定は、売上高や消費者への影響の大きさなどを指標とする。対象が必要最小限度に限られるよう基準は調整中だという。
法案では「特定DPF」の運営事業者に対し、(1)取引条件などの情報開示(2)自主的な手続き・体制の整備(3)運営状況のレポートの提出─を義務付ける。対応しない事業者には是正勧告と公表を行い、状況に応じて措置命令も行う。
義務付ける情報開示の項目は、具体例として別掲の8項目を挙げた。セキュリティー上の理由で開示できない場合については、個別に対応し、例外項目の規定も視野に入れる。
経済産業大臣への定期的な報告義務も法案に盛り込む。情報開示や紛争処理など、運営状況のレポートの提出を毎年度行うことを「特定DPF」の運営事業者に課す。経済産業大臣は、受理したレポートや関係者への聴取をもとに各「特定DPF」の運営状況に関するレビューを行い、その評価を公表する。
法案の基本理念には、市場の成長や技術革新に対し、過度の抑圧とならないよう「国の関与その他の規制を必要最小限のものとする」ことを記載する。この理念を踏まえ、「特定DPF」運営事業者による一方的な変更を不当行為と定め、禁止事項として明記することは見送った。
〈デジタル市場競争会議〉 新法案の大枠定まる/取引条件の開示を義務付け
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