個人情報保護委員会は11月29日、個人情報保護法の制度改正大綱の骨子案を発表した。骨子案では、個人を特定する「個人データ(※参照)」に該当しない情報も、条件によっては第三者提供を規制するとしている。条件によっては、リターゲティング広告などに利用される「Cookie(クッキー)情報」も、利用規制の対象になる可能性があることを示している。
骨子案では、「提供先において個人データとなる場合の規律の明確化」という項目を設けている。個人に関する情報について、「提供元では個人データに該当しないものの、提供先において個人データになることが明らかな情報について、個人データの第三者提供を制限する規律を適用する」としている。
個人情報保護委員会では、「提供元において個人データに該当しない情報」については、「クッキー情報や、例えば何らかの企業サイトへのログインIDとパスワードも当たる可能性がある」としている。
法案について議論する個人情報保護委員会では委員から、「企業間の情報のやり取りにおいて、個人データに当たらないものを集めて、個人を特定するケースも散見される」といった意見も出されている。
骨子案では、「違法行為のペナルティーの重科導入」も盛り込まれている。個人情報保護委員会は12月3日時点で、現行法のペナルティーをどこまで罰則の強化を行うかについては明らかにしていない。
現行法では、個人情報保護を怠って情報漏えいなどがあった場合、個人情報保護委員会が指導・勧告や改善命令を行う。改善命令に従わない場合は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課される。
骨子案については19年中にパブリックコメントを募集し、取りまとめを行うとしている。
20年の通常国会に、改正法案を提出する予定だとしている。
※個人データとは…個人情報保護法が規定する、「本人の氏名」「生年月日」「連絡先」「メールアドレス」や、マイナンバーなどの「個人識別符号」などの個人情報が、外部記録媒体に保存されたり、紙面に帳票として印字されたりした状態の情報を指す。現行法では、クッキー情報は「個人情報」にも「個人データ」にも当たらないとしている。
〈個人情報保護法〉 クッキー規制の可能性も/制度改正案骨子案を発表
記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。