【ZHD×LINEが経営統合】 ECはシナジー創出/GAFAに対抗、地位確立

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ZHDの川邊健太郎社長(写真左)とLINEの出澤剛社長

ZHDの川邊健太郎社長(写真左)とLINEの出澤剛社長

 ヤフーを傘下に持つZホールディングス(ZHD)とLINEは11月18日、経営統合に関する基本合意書を締結したと発表した。2020年10月をめどに経営統合を完了する計画だ。ヤフーとLINEはそれぞれ、ZHDの100%子会社となる。ZHDは上場を維持し、LINEは上場廃止となる。経営統合により、GAFAなどの海外巨大プラットフォーマーに対抗。国産プラットフォーマーとしての地位を確立させる狙いがある。コマース領域では、LINEのメッセンジャーアプリと、ヤフーのECを掛け合わせたシナジー創出を見込む。本紙では、両社の経営統合によるEC市場への影響について緊急アンケートを実施。全体の66%が「EC業界にプラス」と回答した。

■AIテック目指す

 ZHDの川邊健太郎社長は会見で、「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニーを目指していく」と再三繰り返した。ZHDとLINEを合算した時価総額は3兆円で、営業利益は1600億円。GAFAの事業規模とは大きな差があるものの、統合により国内では最大規模のIT企業となる。
 LINEの出澤剛社長は、グローバルテックジャイアントの存在が強まっており、ヤフーも同じ認識を持っていると説明。「インターネット産業は優秀な人材、お金、データが強いところに集約してしまうビジネス構造。強いところはもっと強くなり差が広がってしまう」(出澤社長)と現状に対する危機感を示した。
 「日本の課題に思い切ってフォーカスした他社にはできないサービスを提供することで、海外プラットフォーマーとの差別化につながるのではないか」(川邊社長)との見解も示した。


■コマースで連携

 ZHD傘下のヤフーは現在、「ヤフーショッピング」「ヤフオク!」「PayPay(ペイペイ)フリマ」「PayPay(ペイペイ)モール」「LOHACO(ロハコ)」といったコマースサービスを提供している。
 ZHDの19年7―9月期(純第2四半期)におけるEC取扱高は、前年同期比12.0%増の6047億円だった。ZHDが11月13日に株式公開買い付けを終了したZOZOも、12月からヤフーが運営する「ペイペイモール」に出店する予定だ。
 LINEは現在、アプリ内で複数のサービスを提供している。「最近の言葉で言えば『スーパーアプリ』といわれるような構想を当初から行ったきた」(出澤社長)と説明。アプリ内で「LINEショッピング」を運営している。
 ZHDの川邊社長は「LINEはEコマースにそれほど力を入れていないが、ヤフーが提供できていないメッセンジャーサービスを持っている。それぞれの弱点を補うことのできるシナジーがある」と期待を込める。
 ヤフーが提供するプラットフォームでは多くの集客が見込める。LINEでは事業者が、「LINE公式アカウント」に登録することで、ユーザーに対して直接的な商品訴求を行うことが可能になる。
 ZHDの子会社で、キャッシュレス決済を手掛けるPayPay(ペイペイ)が提供する「PayPay(ペイペイ)」と、LINEの決済サービス「LinePay」は重複するサービスとなるが、今後の方向性について「詳細は経営統合後に考えていく」(川邊社長)と話した。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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