〈公正取引委員会〉 独禁法違反の事例公開/プラットフォーマーの取引で

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 公正取引委員会は10月31日、大手ECモールなどを運営するデジタル・プラットフォーマーの取引に関する調査書を公開し、独占禁止法に違反する恐れのある事例を示した。ECモール内で検索した際、商品やサイトが上位に表示される仕組みや基準、指標を、モール側が明確に説明する必要があるとした。
 今回発表した事例は19年1月、公取委が開始したデジタル・プラットフォーマーの取引に関する調査結果をまとめたもの。聞き取り調査では、大手ECモール運営事業者や利用事業者など93人分の意見が集まり、独禁法違法となる事例を公開した。
 大手ECモール運営事業者が、同意なく規約を変更して手数料を高く設定するなど、有利な立場で取引することは、優越的地位の乱用にあたる可能性があるとしている。変更内容の事前通知や、事業者側からの合理的な意見に考慮すべきとの考え方を示した。
 ECモール内において、大手ECモール運営事業者自体や関連会社を優位に扱い、出店事業者と一般消費者との間の取引を阻害する行為も優越的地位の乱用にあたる恐れがあるとした。
 検索のアルゴリズムを恣意(しい)的に操作し、検索表示の順位を操作することなどがあたる。
 公平性や透明性を担保するために、検索順位を決定する指標を詳細に示すことや、検索順位の上位が広告枠の場合、その旨をサイト内に明示することが必要だとしている。
 アマゾンは、「公正取引委員会を含む当局とさまざまな事案についてコミュニケーションを取っており、本調査にも協力している。今後ともお客さまや販売事業者さまによりよいサービスを提供するよう努める」(広報担当者)としている。
 公取委、経済産業省、総務省は18年7月、「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」を設立。
 プラットフォーマー型ビジネスのルール整備に向け取り組みを進めてきた。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ