〈キャラクターグッズEC〉 商品や特典、独自に企画/希少価値高め価格競争抑制

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 漫画やアニメなどキャラクターグッズを販売するEC事業者が、独自企画の商品や特典に力を入れている。フィギュアのECを手掛けるホビージャパンは7月にもサイトをリニューアル、ミニカーなど独自商品の取り扱いを拡大する。壽屋やキャラアニといった社内にキャラクターグッズの製作部門を持つ事業者は、独自企画の商品以外に、すでに流通している商品についてもパーツや色を変更することでオリジナル化を打ち出している。商品の希少価値を高めて、販促の強化と価格競争の抑制につなげるのが目的だ。

ファンの関心集める

 キャラクターグッズのEC事業者が独自の商品企画や特典に取り組んでいるのは、EC市場における価格競争の激化が背景にあるからだ。
 サイトによっては新商品の価格を、定価の20~30%割引で販売するEC事業者もあるという。EC事業における収益確保や価格競争を避ける目的から、独自の商品企画に取り組み始めたというEC事業者も少なくない。
 EC事業者のホビーストックやメーカーの壽屋は、一般販売されている商品の中から、独自の商品を企画する一環としてばら売りの商品をセット化。独自の特典を追加して差別化を図っている。
 セット商品にするのは、フィギュアやプラモデルと比べると単価の低いラバーストラップといった小物類が中心。アニメや漫画に登場する主要なキャラクターを集めた商品が多い。
 追加する特典には、通常の商品ラインアップに含まれていないキャラクターを活用。セット化した商品と同様の品目でデザインをそろえたものにする。
 同じグッズでキャラクターをそろえたいという作品ファンの需要に応えたことで、販促につながったという。
 ホビー情報誌などを発行するホビージャパンは、「AMAKUNI(アマクニ)」の名称でフィギュアのブランドを立ち上げている。1体当たり約1万円の価格でEC限定フィギュアを販売している。
 11年から、アニメや漫画をもとに企画した独自商品に加え、ホビー情報誌で連載している「百花繚乱」といったオリジナル作品の商品化を始めた。
 同社はECと雑誌の紙面上で通販を行い、14年4月期の通販売上高は約10億円。そのうち9割が独自商品によるものだという。オリジナル作品は雑誌での連載や情報サイトを中心に告知・販売している。
 Tシャツの製造・販売を手掛けるハードコアチョコレートは、キャラクターをデザインに取り込んだアパレル商品を企画している。
 同社の宗方雅也社長がデザインし「写実的な表現を加え、元のキャラクターの絵からアレンジを加えている」(ハードコアチョコレート・企画戦略部・屋宮大祐氏)と話す。
 キャラクターそのもののファンとともに、同社独自のデザインアレンジを加えたことで顧客の獲得につながったという。
 キャラクターグッズのEC事業者が、独自商品や特典のターゲットとして想定している顧客層は、20代後半から30代後半の男女が中心。購買意欲が高く、現在放送・掲載が行われている漫画やアニメのほか、幼少期に展開されていた作品のグッズにも関心が高いという。

(続きは日本ネット経済新聞 3月19日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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