中古品EC各社が、続々と新戦略を打ちだしている。中古ブランド品販売のエコリングや、総合リユース企業のトレジャーファクトリーは新たなECサイトを立ち上げ、「売り場」の拡充を図っている。中古アパレル販売のクラウンジュエルやベクトルは、新品アパレルを販売するEC企業とタッグを組むことにより、買い取り施策を強化している。各社が新戦略を続々と打ち出す背景には、台頭著しいCtoCフリマアプリが、中古品BtoC―EC業界を、背後からじりじりと追い上げてきている現状に対する焦燥があるようだ。
エコリングは11月8日に、新たなECサイト「エコリングtheオークション」を開設し、BtoB向けのEC事業に参入する。同サイトでは、オークション形式を採用。毎週日曜日に出品商品を公開し、水曜日にオークションを実施する。毎週、2億円分の商品を出品していく予定だという。「当社は、中古ブランド品などのBtoC販売も行っているが、全社的な売り上げ構成比でいうと、以前から買い取り商品の卸事業の方が大きかった。個人事業主を含め、新たなBtoBの顧客を獲得していくため、ECサイトという形でBtoB事業を拡充していくことにした」(合田香織執行役員販売事業担当)と話している。
■実店舗運営企業はリアルとネットを相互補完
強固な実店舗網を持つ中古品EC企業の中には、実店舗の扱う商品の多様さを、ネット通販事業の拡大につなげようとする動きもある。
全国に約150の実店舗を持つ総合リユース企業トレジャーファクトリーは10月1日、趣味用品などを扱う中古品ECサイト「トレファクONLINE(オンライン)」を開設した。同社がECサイトを開設するのは、主力の古着ECサイトに次ぎ二つ目。同社では、総合リユースショップの他に、「古着」「スポーツ・アウトドア用品」「ブランド品」といった切り口特化型の実店舗を各地に展開しており、そうした実店舗では以前から、趣味用品の取り扱いを行っていた。
ただ、「古着以外の商品を購入するには、在庫を持つ実店舗に足を運んでもらう必要があったため、顧客の取りこぼしが少なくなかった」(広報)と言う。「商品を実店舗間で融通し合うようなことも行っておらず、千葉にあるスポーツ専門店に、北海道からわざわざ買い物に来て下さるというお客さまもいたほどだった」(同)とこれまでを振り返る。
課題を解決するため、新たに趣味用品などを扱うECサイトを開設することにしたという。「まずは、当社をよく使ってくれているお客さまを囲い込みたい」(広報)と狙いを話す。
中古アパレルECを運営するゲオは10月10日、ECサイトの商品を試着してから購入できる「セカンドストリートお取り寄せサービス」を開始した。同サービスでは、ECサイトに掲載されている商品を、指定した実店舗に取り寄せ、試着してから購入できる。サービス開始からわずか3週間足らずだが、すでに成果は表われつつあるという。「試着サービスを利用した人が、実店舗で商品を購入する率は約75%にのぼっている。しかも、サービスを利用したユーザーは、実店舗での買い回りもしてくれるケースが多い」(事業企画部EC運営企画課福地広志マネージャー)としている。
■古着ECはアパレルECとのタッグに活路
中古アパレルECでは、「アパレルEC利用者」層を囲い込み、買い取りの強化を図る動きが目立っている。
(続きは、「日本ネット経済新聞」11月2日号で)
中古品EC企/新EC開設など動き活発/背景にはCtoCフリマアプリ台頭の焦燥も
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