EC企業のオフライン展開が活発化している。新型コロナウイルスが5類に移行されたことを受け、昨年からポップアップイベントを開催したり、実店舗を開設するEC企業が増えている。だが、ポップアップイベントを開催しても、集客に苦戦している企業も多い。プロテインを販売するA社は、「インフルエンサーを活用して集客を図ったが、来店者数は思ったより伸びなかった」(社長)と話す。一方、シニア向けの女性雑誌「ハルメク」を発行するハルメクは、”アナログ”な方法で集客に成功している。オフライン展開は、ブランドや商品に合った”勝ち筋”を早めに見出した企業が成功を収めている。
アフターコロナの現在、都内では週末にポップアップイベントを展開しているのを見かけるようになった。コロナ特需が終わり、ECだけでは飛躍的な成長を遂げるのが難しくなっている。こうした背景からEC企業がオフライン展開を強化するのも理解できる。
だが、オフライン展開しているEC企業からは、「オフラインの集客が難しい」「『ポップアップイベントをやります』とインフルエンサーに告知してもらっても反応が悪い」「オフラインで当社を知った人がECを利用してくれない」などの声が上がっている。
スイーツを販売するB社は、「比較的フォロワー数の多いインフルエンサーにポップアップイベントを行う告知を発信してもらった。当日はインフルエンサーのファンが多く来てくれたが、購入にはつながらなかった。インフルエンサーを見て写真を撮って満足するという人が多かった」(取締役)と話す。
失敗した経験をもとに、「来店にはつながったので、あとはインフルエンサーに絡めた特典をどれだけ付与できるかだと思っている。〇〇円以上購入してくれたらチェキが撮れる、購入してくれたらインフルエンサーのステッカーが手に入るなどだ。そこまでしないと購入してもらえないと感じている」(B社取締役)と話す。
前出のプロテインを販売するA社は、インフルエンサーを活用したが思うように集客につながらなかった。
「有名なインフルエンサーを起用したが、うまくいかなかった。そのインフルエンサーはフォロワー数こそ多かったが、活発な意見交換が行われるコミュニティーではなく、いわゆる”生きている”フォロワーは少なかったと推測している。数回ポップアップ開催の投稿をしてもらったため、数百万円かけたが、成果につながらず無駄になってしまった」(A社社長)と吐露する。
■顧客対象に合った手法
日本で最多の発行部数を誇るシニア雑誌を発行するハルメクは現在、百貨店を中心に実店舗展開を強化している。
(続きは、「日本ネット経済新聞」8月1日号で)
【オフライン展開で明暗】 アナログ手法で集客成功/インフルエンサー活用の失敗例も(2024年8月1日号)
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