アフターコロナでEC顧客が伸び悩む中、ECサイトの機能を拡張し、購入目的ではない顧客の取り込みを図る動きが活発化している。ニトリホールディングス(HD)は今年2月、ECサイトのマーケットプレイス展開を発表。新たな商材やサービスの取り扱いを増やし、「暮らしのポータルサイト」へ進化する。ブランド服の買い取り販売店舗「RAGTAG(ラグタグ)」を運営するティンパンアレイ(本社東京都、平野大輔代表)は、ECサイトでスタッフのスタイリング画像や動画の配信を強化している。洋服好きな人が毎日見たくなるメディアに進化することで、EC売上高の拡大につなげている。
ニトリHDは2月6日、EC事業の成長を加速させるため、マーケットプレイスモデルを本格導入すると発表した。フランス発のMirakl(ミラクル)が提供するエンタープライズマーケットプレイス構築向けSaaSプラットフォームを導入し、25年以降にマーケットプレイスサービスの提供を開始する見通しだ。
常務執行役員最高情報責任者(CIO)の武井直氏は、「総合サイトとして考えたときはアマゾンさんや楽天さん、ヤフーショッピングさんにはかなわない。ただ、目的を特化型にすれば、集客できる便利なサイトが作れると考えた。『暮らし』にフォーカスして、品ぞろえを一気に充実させ、何か『暮らし』の困りごとがあれば、ニトリのサイトを見ればいいんだと認知していただきたい」とマーケットプレイスの導入理由を話す。
■暮らしの全てを解決
マーケットプレイスを導入することで、取扱商材を拡充するだけではなく、住まいのサービス領域も拡充する。専門領域のパートナーと連携し、水回りのトラブル解決やエアコン清掃、庭の選定、部屋の模様替え、引っ越しなどをサポートする構想もある。
「これまでは『住まい』のさまざまな商品を提供してきた。これからは『暮らし』のお困りごとを解決していく会社になりたい。その目標に向かって、会社のトランスフォーメーションを図っている」(武井CIO)と説明する。
ニトリHDは中長期ビジョンとして、32年度までに店舗数3000店、売上高3兆円という目標を掲げている。その目標達成に向け、「暮らしの商品を販売するニトリ」から、「暮らしの全てが解決するニトリ」に進化していく考えだ。
■滞在時間は3~4倍
「RAGTAG」を展開するティンパンアレイは、「ファッションを楽しんでもらう」ため、ECサイトのコンテンツを拡充している。
(続きは、「日本ネット経済新聞」3月28日号で)
【”買わない”顧客を狙え】 ニトリ、RAGTAGがEC機能を拡張(2024年3月28日号)
記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。