広告費の高騰やリアル回帰といった逆風の中、中小規模のEC企業はSNS運用に加えて自社でブログを活用し、集客拡大などの成果を出している。ファングッズを販売するOshicoco(オシココ、本社東京都、多田夏帆社長)は、toCとtoBそれぞれに向けたブログ発信で、関係性を構築している。アパレルのKEYMEMORY(キーメモリー、本社神奈川県、鈴木一平代表)は、検索流入を増やすために、鎌倉に関するコンテンツを充実させている。個性あるブログで、リソースが少ない中小企業でも顧客のファン化を推進し、競争力を付けることに成功している。
Oshicocoは、23年11月にECサイトを刷新し、トップ画面の最上部にブログを設置した。「推し活」に関する体験レポートやグッズ紹介に関するブログを、オウンドメディアで週1回のペースで更新している。
同社は小規模かつ新興企業であることから、知名度には伸びしろがあるという。ブログで検索流入を増やし、サイトの回遊率を上げることで、購買につなげている。
実績について、「ECサイトの流入元は、約半数が検索もしくはブログ経由だ。ブログ全体のPV数は、22年の開始当初と比べると現在は約10倍となっている」(営業部プランナー 曽根紗良氏)と話した。
■toBブログで協業狙う
Oshicocoのブログは、1~3人の担当者が執筆している。記事の内容によっては、多田代表が執筆するものもある。現役大学生のインターンも含めて、記事のアイデアを出している。クラシコムが運営するECメディア「北欧、暮らしの道具店」をベンチマークしているという。
これまで最も読まれたブログは、ハングルで書く、うちわについての内容で、月間で1万以上のPV数だ。
「検索されやすい単語を含む、ネタの選び方が重要だと思っている。『面白い』で終わらせるのではなく、『このグッズが欲しい』と具体的なイメージで、『自分事化』してもらえる内容を出すようにしている」(同)と話した。
同社は2月からメディアプラットフォーム「note(ノート)」において自社アカウントの運営を強化し、toB向けのコンテンツを拡充するという。企業が興味を持つ内容を発信することで、協業などのビジネスチャンスを増やす狙いだ。
現在までに、ポップアップストアの企画や運営に関する記事などを出しており、商談において「興味を示された」などの手応えがあったという。
「どんなオタクでも楽しんでもらえる品ぞろえにできるよう、メーカーなどtoBとの関係性も大切だ」(同)と話した。
同社はマーケティングソリューションを提供するCDGと協業し、「推し活総研」を4月に設立する予定だ。詳細なデータを収集・分析することで、ブログのコンテンツ力向上にも生かしたい考えだ。
■地域のつながりで差別化
「カラーミーショップ大賞2023」で優秀賞を受賞したKEYMEMORYは、
(続きは、「日本ネット経済新聞」2月22日号で)
【中小EC事業者のブログ活用】 低コストでファン化促進/サイト流入の多くがブログ経由の事例も(2024年2月22日号)
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