TPP大筋合意/越境ECに追い風/国際配送が迅速化

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環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が参加国の閣僚会合で大筋合意に達したことを受け、域内の越境ECに関する合意事項が明らかになった。通関を迅速化するため、書類を電子化したり可能な限り貨物の到着から48時間以内に許可を出したりすることを規定。個人情報保護などの共通ルールにも合意した。通関の迅速化や貿易ルールの明確化により国内企業は越境ECに取り組みやすくなる。TPPは各国議会の承認などを経て発効するため、正式にスタートするのは16年以降となる見通し。

電子書籍は無課税
 内閣官房TPP政府対策本部が10月5日に公表した「環太平洋パートナーシップ協定の概要」と題する資料によると、大筋合意に達した文章の中に、12カ国における越境ECのルールを規定した「電子商取引」の項目がある。
 合意文章によると、TPP参加国が自国の企業を優遇したり、外国企業に差別的な措置を行ったりすることを禁止。外国企業に対して、ECを行う条件としてデータセンターなどの設置を自国内に求めることも禁止している。
 国ごとに異なる法令や商取引のルールを整備するため、個人情報の扱いを規定したほか、消費者保護のための政策やサイバーセキュリティー対策などで各国が協力する。
 デジタルデータで取引される電子書籍や音楽、漫画などには関税を課さない。

通関書類の電子化も

 国境を越える配送時のリードタイムを短縮するため、通関の手続きの迅速化にも合意した。税関は可能な限り荷物の到着後48時間以内に受け取りの許可を出すことや、税関への提出書類の電子化に努めることなどを合意文書に盛り込んだ。
 通関手続きの簡素化と透明性の向上を図ることで、越境ECに取り組む企業を支援するのが狙い。
 越境ECを行うEC事業者の中には、通関の手続きで想定外の時間を要するケースも少なくない。雑貨ECを手掛ける企業は、「理由があいまいなまま2~3週間待たされたこともある」と言う。
 配送日数は顧客満足度に直結することから、通関の迅速化が実現すれば、越境ECを手掛ける企業にとって追い風となる。

(続きは日本ネット経済新聞 10月8日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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