【ニュースの深層】□□133 <景品表示法「悪質事業者への効果は未知数」>改正案に「適格消費者団体の開示要請」

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 政府が2月28日に閣議決定した、景品表示法の改正案には、「適格消費者団体による開示要請(以下、開示要請)」の規定が盛り込まれている。広告表示の差し止め訴訟などを担う適格消費者団体が、事業者に対して、「表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料(以下、合理的根拠資料)」の開示を要請することができるという規定だ。事業者は要請に応じる「努力義務」を負うとされている。当の適格消費者団体からは、「無意味ではないだろうが、問題は開示要請を拒否・無視する事業者があること」(消費者機構関西)といった声も上がっており、どこまで実効性がある規定になるかは未知数のようだ。

■消費者団体は期待と不安

 景表法改正案には、「適格消費者団体が、一定の場合に、事業者に対し、当該事業者による表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の開示を要請することができるとともに、事業者は当該要請に応ずる努力義務を負う」とする規定が盛り込まれている。
 適格消費者団体では、通販事業者を始めとした、さまざまな事業者に対して、広告表示や、ECの申し込み画面の表示の改善などを求める申し入れを行っている。中小の通販事業者に申し入れを行うケースもあれば、アマゾンジャパンやLINEなど、大手プラットフォーマーに対して申し入れを行うこともある。
 事業者が改善の申し入れを受け入れない場合は、広告表示の差し止めなどを求める訴訟に発展するケースもある。
 いざ訴訟となった際に、勝敗を分ける要因となるのが、合理的根拠資料の有無だ。現行の制度では、事業者からの自主的な開示がない限り、事業者が合理的な根拠を持っているか否かを、消費者団体は知りえない。「合理的根拠を持っていないと思って訴訟を起こしたら、持っていて負けた」ということが起こり得るのだ。今回法案に合理的根拠の開示に関する規定が盛り込まれたことには、そうした点について、適格消費者団体を支援する狙いがある。
 ただ、改正法案に盛り込まれた「開示要請」の規定の実効性に不安を感じる適格消費者団体もあるようだ。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月9日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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