【ニュースの深層】□□113 〈書面電子化検討会WT会合を開催〉/「メール添付に限定」の意見多く (2022年1月20日号)

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 消費者庁では現在、「特定商取引法の契約書面等の電子化に関する検討会」のワーキングチーム(WT)の会合を開催している。21年12月末までに、消費者団体や事業者団体など15の団体から、電子書面の交付について「真意に基づく承諾を確保する方法」「電磁的方法による提供の方法」に関するヒアリングが行われた。消費者団体は、「書面の交付の承諾について、承諾書の控えを交付する」「電子メールにPDFファイルを添付する方法に限定する」といった方法を主張している。事業者団体の関係者からは、「他の業界がデジタル化に向けて進んでいるのに、消費者行政だけ取り残されてしまうのではないか」という声も聞かれる。

■紙の書面交付が原則

 WTは、21年12月末までに5回の会合が開催された。日本消費者協会など10の消費者団体と、日本経済団体連合会など三つの事業者団体、弁護士2人が、書面の電子化について、意見を述べた。
 各団体の主張は細かく異なっているが、消費者団体から聞かれた意見で多かったのは、「消費者がPCなどを所持し、使える状況にあるかを確認する」「電子書面の交付について、承諾書の控えを交付する」「電子書面の承諾は口頭では認めず、紙か電子メールにする」「電子書面の交付は、電子メールにPDFファイルを添付する方法に限定する」─といった意見だ。
 「電子書面に『書類を受け取った日がクーリング・オフの起算点になる』ことなどを明示する」などの意見も複数あった。消費者が承諾の意義・効果を理解した上で真意に基づく明示的な意思表示を行うための前提になるとしている。
 一方、事業者団体は、「あらゆる手続きに、デジタルでアクセスできる社会を目指すことが重要。電子化の手順を書面よりも煩雑にすれば、電子的交付を望む消費者の利便性を阻害することになる」(経団連)といった主張をしている。
 事業者団体のある関係者は、「他の分野の行政では、デジタルトランスフォーメーションを推進したり、デジタル化を前提に進めようとしたりしている。にもかかわらず、消費者行政だけが後れを取る形になっていないか」と話している。
 検討会の委員の一人で消費者問題に詳しい池本誠司弁護士は、「事業者団体は書面の電子化のメリットを主張しているが、書面の消費者保護機能を確保できる枠内でのメリットでなければならない。『消費者団体が反対する意見が、消費者にとってのメリットだ』という主張は、説得力に欠ける」と話している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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