【毎日新聞記事で波紋】住設訪販各社「ありえない」/<本紙取材> コンプラ体制の強化目立つ(2024年10月24日号)

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 毎日新聞が報じた「連続強盗の容疑者、リフォーム業で過去に家宅捜索/資産情報を悪用か」(10月7日付)の記事に波紋が広がっている。容疑者が過去にリフォーム訪販会社のアポインターをしていたことがあり、持ち出した顧客情報が強盗に悪用された疑いがあるという内容だ。この報道を同業の事業者たちはどう受け止めているのか。本紙は売上高10億円以上の住設訪販企業や元社員に取材し、7社から匿名を条件に話を聞くことができた。複数の会社が個人情報の取り扱い体制を強化している。

■全社で「ありえない」

 毎日新聞が報じた記事を踏まえた上で、「従業員が顧客情報を勝手に持ち出して悪用されることはありえるか」と質問したところ、回答した全7社が「ありえない」とした。「ありえない」という回答には、今後も「あってはならない」との意味がにじむ。
 回答企業は「そもそも従業員が顧客情報を持ち出す」ことがありえないとし、「持ち出したところで、何に使うのか、何に使えるのか」とコメントした。
 しかし、強盗事件と住設訪販の顧客情報を結びつけた報道は、屋根の修繕やリフォーム、外壁塗装、太陽光発電、蓄電池などを販売する住設訪販企業には風評被害になっている。
 ここ数年は「不実告知」「迷惑勧誘」で行政処分を受ける住設訪販関連事業者も相次いでいる。自治体などの発表資料には明らかな「うそ」を消費者に告げているケースが目立ち、より悪質な処分事例が増えている。
 今回の事件に加えて、不実告知や迷惑勧誘など違法行為が相次いで行われているのは、特定商取引法などコンプライアンスを理解せずに事業を行っている会社が多いことが背景にある。


■持ち出しは「可能」だが

 「個人情報を会社から持ち出すことは可能か」という質問には、7社中5社が「極論すれば可能」と答えた。
 この回答は、契約書の情報などが持ち出せるということではなく、営業社員が訪問営業した際に、スマートフォンを使って個別で情報を得てしまうケースだ。これらが「極論すれば可能」との回答につながっている。
 訪問営業している以上、意図しなくても顧客情報に触れる場面はあるということだ。会社として厳密に管理していても、訪問営業した従業員の頭の中で情報が管理されてしまえば、コントロールが難しい場合もある。
 住設訪販は、特商法に基づいた契約が前提となり、企業と個人で取り交わす契約書面が顧客情報に該当する。
 顧客情報の管理方法を各社に聞くと、「誰もがアクセスできないようにしている」「特定の部署や社員のみが管理」「金庫保管などで持ち出しできないようにしている」との回答があった。
 また、今回の報道を受けて、各社から「持ち出した情報に価値があるのかどうか」というコメントも目立った。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月24日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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