【 <小売大手> ”自社マケプレ”が増加】ニトリやアイリスが導入、狙いはLTV向上(2024年10月17日号)

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 小売大手企業が自社ECサイトの機能を拡張し、”自社マーケットプレイス(マケプレ)”を展開する事例が目立つようになってきた。今年2月にニトリがマケプレの導入を発表すると、同9月にはアイリスオーヤマが導入を表明した。小売大手が自社ECサイトをマケプレ化していく背景には、頭打ちの消費市場に対応するためのLTV(長期的に顧客が生む価値)志向がありそうだ。小売大手企業のマケプレ戦略の狙いや、先行企業のマケプレの運営状況などから今度の動向を探る。

 自社マケプレとは、自社ブランドの商品などを販売するECサイトに、外部企業が出品・販売できるマケプレ機能を備えたサイトのこと。もともと、Amazonがこのモデルだが、Amazonのように物流や販促機能まで提供しなくても、外部企業が商品を販売できる体制を整備し、自社の商品ではカバーできない領域の品ぞろえを拡充する企業が増えている。
 アイリスオーヤマは今年9月、ECサイト「アイリスプラザ」において、マケプレ機能を導入すると発表した。12月初旬の公開を目指し、10月下旬から出店企業の募集を開始する。運営は子会社のアイリスプラザが行う。
 「アイリスプラザ」はアイリスオーヤマ商品を中心に家電や食品、家具、ペット用品、日用品など5万点以上の幅広い商品を扱っている。会員数(24年9月時点)は400万人に達している。商品購入に応じてサイト内で使用できるポイントがたまり、ためたポイントは商品の購入などに利用できる。
 同社は「アイリスプラザ」の品ぞろえをさらに拡充し、会員のポイント利用の幅をさらに広げるために、マケプレ機能の導入を決めたようだ。
 どのようなブランドを誘致し、どのような特色のマケプレにするかは明らかにしていない。


■「暮らし」の第1想起狙う

 ニトリは今年2月、EC事業の成長を加速させるため、マケプレ機能を本格導入すると発表した。外部企業の商品の取り扱いを増やし、EC売り上げの拡大を図る。
 以前の説明会で、ニトリホールディングスの常務執行役員 最高情報責任者(CIO) 武井直氏は、「ニトリというと家具の会社と思われているが、実は家具の比率は全体売上の3分の1くらいしかない。ホームファッションが大きな割合を占めている。ただ、EC売り上げは家具が半分くらいを占めている。ホームファッションやホームセンターの商品などは、ECでまだかなり伸ばせる余地があると思う」(同)と話した。
 マケプレ導入はEC強化に加え、新たな買い物体験を提供したいという思いもあるという。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月17日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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