三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)やカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループは6月13日、両社が発行するポイントサービスを統合し、新生「Vポイント」を24年春から提供すると発表した。新たな巨大ポイントサービスの登場で、ポイントサービスの競争はさらに激化しそうだ。通販・ECではポイントサービスが利用の動機付けとして大きく作用する。楽天経済圏の「楽天ポイント」、PayPay経済圏の「PayPayポイント」は特に通販・ECとの親和性は高いが、各社は自社の状況に応じて、「改悪」とも捉えかねないサービス変更を実施している。そんな中、誕生する「Vポイント」は特定の経済圏に縛られないという。その独自の立ち位置が通販・EC業界にどのような影響を与えるのかを分析する。(関連記事を8面に掲載)
新生「Vポイント」は日本初の共通ポイントである「Tポイント」と、SMFGが提供し、世界中のVISA加盟店で使える「Vポイント」が統合して、誕生する。
より多くの顧客がポイントを意識せずともたまりやすく、使いやすいポイントサービスを目指すという。携帯電話やECモール、決済など核とするサービスがあり、ユーザーの囲い込みを図る経済圏モデルとは異なり、幅広いサービス、企業が参加できるオープンなサービスを志向しているようだ。
既存の「Tポイント」や「Vポイント」の加盟店は、リアル店舗がメーンだ。「ヤフーショッピング」は22年3月31日までポイントプログラムとして「Tポイント」を採用していたが、同4月1日からグループの「PayPayポイント」に切り替えている。大手モールに対応できていないことから、ECで利用できる店舗は少ない印象となっている。
ただ、今回の統合を機に、サービスの認知が高まると、新たな加盟店が加わり、通販・ECでの利用先も広がるかもしれない。
■方針変更に危惧する指摘
迎え撃つ既存のポイントサービスはどのような取り組みに注力しているのか。
新規の利用者獲得において最も勢いがあるのは、「PayPayポイント」だろう。キャッシュレス決済「PayPay」が利用者を伸ばしており、日常的に利用するユーザー層が拡大している。
通販・ECにおいては、大手ECモール「ヤフーショッピング」でも利用できる点が強みになっている。さらに、「PayPay」のオンライン決済も広がっており、「PayPayポイント」を利用できる自社ECサイトもじわじわ広がっている。
今後も通販・ECでの利用が拡大していくと思われていたが、あるサービス変更が波紋を投げかけている。
ヤフーは今年4月、「ヤフーショッピング」の人気企画「5のつく日キャンペーン」など一部のキャンペーンの特典を「PayPayポイント」から「ヤフーショッピング商品券」に切り替えると発表したのだ。「ヤフーショッピング商品券」は「ヤフーショッピング」のみで利用できるデジタル商品券で、比較的短い有効期限を設けている。
(続きは、「日本流通産業新聞」6月15日号で)
【ポイントの新競争時代】新「Vポイント」は独自戦略/”脱経済圏”で利用者・加盟店獲得へ
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