【変わる通信教育】 「タブレット学習」が急拡大/デジタル化が解約率低下にも寄与(2022年12月1日号)

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ベネッセではポイントでのプレゼントを実施

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 通信教育市場において「タブレット学習」のシェアが急速に拡大している。「こどもちゃれんじ」や「進研ゼミ」を提供するベネッセコーポレーション(以下ベネッセ)では、現在タブレット講座の受講者が、全体の7割を占めているという。14年のサービス開始当初から比べると3倍に増えているそうだ。デジタルネーティブ世代の保護者が増えており、タブレット講座が受け入れられやすくなっている。「保護者の忙しさ」も手伝って、「保護者の手を煩わせないタブレット学習」の需要が拡大しているのだという。学習データの蓄積が容易なのもタブレット学習の利点の一つ。学習の幅が広がる、中学生や高校生に向けても、対面の塾と同等の学習提案が可能になっているようだ。デジタル活用の進展は各社において、解約率の低下にも寄与しているとみられる。デジタル化は、通信教育の可能性を大きく広げていきそうだ。

■タブレット比率3倍増で7割に

 従来は紙媒体による方法が主流だった、幼児・小学生向けの通信教育について、近年、デジタル化が急速に進んでいる。
 ベネッセは14年、「進研ゼミ小学講座」について、タブレット版の提供を開始した。提供開始当初、タブレット講座の選択率は2割程度だったが、現在は小中学生合わせて7割程度にまで伸びているという。
 16年からデジタルコースの提供を開始したZ会でも、近年デジタルコースの需要が急拡大している。19年までは、アイパッド限定の対応だったが、需要の高まりを受け、20年からマルチデバイスでの対応を開始したという。
 「タブレットなどの使用が、学校でも当たり前になってきている。保護者がデジタルネーティブな世代になってきており、抵抗がなくなってきているのも大きい」(小学生講座担当・今里真氏)と話す。
 ベネッセでは、「共働き」の増加も影響していると見ている。「紙媒体だと、どうしても『見る』『丸つけをする』といった手間が保護者に発生してしまいがちだ。かつては専業主婦が多く、子どもの学習に関与できる人も多かったのかもしれないが、今は状況が違う」と話す。「現在は、両親ともに忙しく、なかなか子どもの学習に目をかけられない。そのため、採点や、不明点の解決を、子ども一人でできるタブレット学習が好まれているようだ」(広報担当・萩澤莉緒氏)とも話す。
 12年から、タブレット型の通信教育を提供しているジャストシステムも近年、需要の拡大を実感しているという。「コロナ禍で塾通いが難しくなったことの影響がある。ギガスクール構想(※参照)で、PCやタブレットが身近になったことの影響も大きい。特に近年は、『幼児コースからタブレットで』という保護者も増えてきている」(ラーニングイノベーション事業部企画開発グループ長・大島教雄氏)と話す。


■スケジュールの管理も

 通信教育は学年が上がるにつれ、受講者が減っていく傾向にある。学年が上がるにつれ、通う学校のレベルや志望校などが多様化することが要因の一つとみられる。高校生などについてはこれまで、通信教育よりも、対面での指導が可能な、塾や予備校での教育が重視されがちだったという。

(続きは、「日本流通産業新聞」12月1日号で)

「こどもちゃれんじ」では、可愛らしいデザインの知育玩具を使用する学習が多い

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SNSのような感覚でやり取りができる(ジャストシステム)

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自分で試験や入試対策ができる(ジャストシステム)

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記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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