冷凍宅配食市場が拡大している。冷凍宅配食サービス「nosh(ナッシュ)」を運営するナッシュ(本社大阪府、田中智也社長)はサービス開始から約6年間で累計8000万食を販売した。イングリウッド(本社東京都、黒川隆介社長兼CEO)が手がける「三ツ星ファーム」も、サービス開始から2年半で、累計1000万食を販売している。冷凍幼児食のD2C「mogumo(モグモ)」を展開するOxxx(オックス、本社福岡県、黒瀬優作社長)は、24年2月期の売上高が前期比約7倍になったという。各企業の状況を見ても、販売食数は堅実に右肩上がりで推移している。有力企業の販売成功戦略について迫る。
矢野経済研究所によると、20年度の食品宅配市場は前年度比14.3%増の2兆4969億円だった。25年度には、2兆9321億円に拡大すると予想している。その食品宅配市場の中でも、特に冷凍弁当や冷凍総菜を購入する人が増加している。
冷凍弁当・冷凍総菜をECで販売する有力企業は、デジタルマーケティングに注力している。
ナッシュはサービス開始後から、ユーチューバーとのタイアップを展開した。特にゲーム実況のユーチューバーとの相性が良いという。
視聴者であるゲーム愛好家は、手軽に健康に配慮した食事をしたいと考えている人が多い。そのため、「ヘルシーで糖質にこだわった当社商品との相性は良い」(販売本部・前川純一本部長)と話す。
Oxxxは22年5月に提供を開始した冷凍幼児食のD2C「mogumo」を急速に広めるため、インフルエンサーマーケティングに注力した。
「インフルエンサーさんが商品の魅力を伝えるために、『普段ぜんぜん食べない子が食べた』というような動画を配信し、1投稿で200~300人の申し込みを獲得してくれたこともあった。代理店を通して、私たちが目指していることを伝えたり、魅力を伝えやすい素材を提供したりすることで、共感していただけたインフルエンサーさんが『mogumo』を広めてくれた」(黒瀬社長)と話す。
インフルエンサーマーケティングにより、2時間で2000~3000件の申し込みを獲得できたこともあるという。
■自社便で配送費削減
冷凍弁当や冷凍総菜をECで販売する企業は、サブスクリプション(サブスク)のモデルを取り入れている。単品ではなく、定期購入契約に導くことで、長期に渡って安定的な収益を確保できるからだ。
(続きは、「日本ネット経済新聞」4月11日号で)
【拡大する冷凍宅配食】 ナッシュは8000万食突破/配送の難題解消でLTV向上へ(2024年4月11日号)
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