【千原弁護士の法律Q&A】229 急な家賃の値上げは理不尽ではないか?

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”法的に問題はなし。断れば調停も”

(質問)
 当社は、関西地方を中心に業務展開をしていますが、約2年前に東京進出をし、オフィスを借りました。安定して経営ができるよう、普通借家契約のところを探していたところ、幸い月額25万円という、相場に比べてかなり安い良い物件が見つかりましたので、そこに事務所を構えました。ところが、今回、大家から一気に家賃を35万円に上げる旨の理不尽な要求が来ました。まだ2年ちょっとしか経過しておらず、常識的に考えて通る要求ではないと思いますが、いかがでしょうか。また断った場合は、どうなるのでしょうか。    (通販会社社長)


(回答)
 まず、大家は、周辺の相場に比べて賃料が低いなどの、客観的な要件を満たせば、貴社の承諾を得なくても、賃料を増額する法的な権利を持っています。もちろん、いくらでも上げられるわけではなく、判例等の基準で認められる一定の範囲内ということにはなります。
 貴社としては、契約締結からあまり期間が経過していないことに不満をお持ちですが、大家が増額を請求するにあたって「現行の賃料が定められた時から一定の期間が経過したこと」は不要であるというのが最高裁判例です。
 判例の事案は、現行賃料が定められた時点から増額請求の時点までがわずか1年半でしたが、月額40万9995円から53万4700円への増額が認められています。
 本件では、契約締結から増額請求まで約2年とのことですが、判例を踏まえると、その程度経過していれば、賃料増額請求が認められる可能性があります。
 法的に増額が認められるかどうかは、最終的には不動産鑑定士の鑑定結果が基準になります。
 そこで、大家の増額請求に不動産鑑定書などの根拠があれば、楽観視できないということになります。

(続きは、「日本流通産業新聞」1月19日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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