【千原弁護士の法律Q&A】▼178▲ 過量販売にならないためのポイントとは?

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〈質問〉

 先日、健康食品を扱う訪問販売会社が、過量販売にて、行政処分を受けたような報道を見ました。当社も、訪問販売で、健康食品も販売しているため、とても気になっています。ポイントやリスクを教えていただければと思います。宜しくお願いします。(健食訪販会社社長)

〈回答〉 負担にならないよう小分け販売で

 ご質問されているのは、愛知県が、2014年10月、「株式会社ドリームワン」(以下D社とします)に対し、特定商取引法等に基づいて6カ月の業務停止命令を出した件だと思います。愛知県のホームページにも公開されていますよね。
 内容を見ると、長時間・深夜の勧誘や、断られても退去しないことなどの事実に並んで、過量販売の点にも触れられるという形となっていました。
 県の公表内容によると、「2カ月前に2年分の健康食品を購入した消費者に対し、さらに1年分の健康食品を長期分割払いで購入させるなどした」ことが、不当な行為として挙げられていました。
 ご存知かと思いますが、健康食品を含む過量販売については、日本訪問販売協会が「通常、過量には当たらないと考えられる目安」という、ちょっと分かりづらい名前のガイドラインを公表しており、健康食品については「原則、1人が使用する量として1年間に10カ月分」とされています。「過量には当たらない目安」ということなので、これを超えたからと言ってすぐにアウトということではありません。しかしながら、最近の消費生活センターの指導例を見ていると「目安を超えたら、即、過量販売」という形で過大解釈しているケースが多いようです。
 そのような中で、健康食品の過量販売の行政処分としては初めて、と言われる形で、今回の公表が行われました。僅か2カ月程度の間に、3年分の健康食品を販売したD社の対応は、誰が見ても明らかに過量販売ですので、この点はあまり参考にならないと思います。
 ただし、以下は、貴社においても参考にされるべきです。
 (1)まず、過量販売については、法律において、業務停止事由とされず、「指示」の対象になるのみですが、D社のような極端な行為をすれば、他の販売方法の問題点との「合わせ技」として、即アウト(業務停止)となることは明かだと思います。
 また、(2)たとえば1年分などの健康食品を、一度に契約をして、代金を分割払いしてもらうという方法も、消費者にとって合理性がない、という行政の視点が示されました。
 つまり、分割払いをするのであれば、1~2カ月分など、消費者が代金の支払いができる範囲で、小分けにして売るのが良いという形になると思います。


〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手がけてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「こんなにおもしろい弁護士の仕事」Part1~2(中央経済社)などがある。



記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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