【千原弁護士の法律Q&A】▼425▲ 退職勧奨、法的な問題はあるか?(2025年3月6日号)

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<質問>

 当社は、業績不振につき、勤務成績の悪い従業員数人について、やむなく退職勧奨を行う予定です。退職勧奨を行うことについて法的な問題はないでしょうか。おそらくすんなり納得してもらえないと思いますが、退職勧奨の回数や協議時間などについて制限はあるのでしょうか。それでも納得してもらえない場合、配置転換や、給与の減額などを示唆したいと思いますが、問題ないでしょうか。また、退職勧奨を行うに当たって想定されるリスクも教えてください。(訪販会社社長)

<回答> 退職迫るだけの交渉は違法に

 まず退職勧奨を行うこと自体は、基本的に自由です。
 ただ、何でもやって良いかというと、もちろん制約があります。判例によって、「自由意思を侵害するような強要」は「不法行為」になって許されないとされています。
 回数や協議時間などに具体的な基準はないですが、最高裁判例では、「2時間以上などの説得を十数回強いられた」ケースで、損害賠償義務を認めています。この判例では「従業員が明確に退職意思のないことを表明したとき」は、退職勧奨は中止すべきという原則も述べられています。

 そこで、従業員が退職を拒絶しているのに、

(続きは、「日本流通産業新聞 3月6日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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