【千原弁護士の法律Q&A】▼422▲ 過量販売主張による返金請求への対応は?(2025年1月23日号)

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<質問>



 催事場を借りる展示会方式でのビジネスを行っています。今回、お客さまから返金請求がありました。内容は、約2年間分の取引であり、合計30点に及びます。呉服、宝石、足袋、草履、洋服、サプリメントなど多種にわたっており、合計金額は約1000万円です。お客さまの主張は「2年で1000万は過量販売なので購入分は全額返金しろ」というものです。商品の中にはお客さまから自発的に購入されたものも含まれていますし、サプリメント等の一部を除いて、全て使用済みであり、当社としては到底応じられる内容ではありません。過量販売の主張について、どのような考え方で対応したら良いでしょうか。(催事販売会社社長)

<回答> 「対案」を出して和解交渉をするのが良い



 「法律に基づく解決」という見地から考えると、過量販売についての現段階での重要な基準としては、日本訪問販売協会(訪販協)が示したものがあります。訪販協が「『通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安』について」という形で出していますので、ウェブで検索してみてください。
 これは「当該範囲内であればセーフ」という安全基準ですが、訴訟やセンター介入等の事案では、既に一定の基準として用いられています。
 サプリメントは「1人が使用する量として1年間に10カ月分」、着物は「着物・帯を基本として、1人が使用する量として1セット」となっています。そして、消費者契約法における過量販売取消権の時効は、契約締結時から5年ですので(途中で気づいた場合はその時点から3年)、この範囲内での取引において判断します(貴社の取引は2年なので全て期間内となります)。
 また貴社のように多種多様の商品を販売している場合、商品ごとに、過量性を判断します。

 今回のように大雑把に「短期間で多額だから」という理由だけでは過量販売の要件を満たしません。
 また、事業者からの勧誘によって契約をしたことも要件となりますので、お客さまが自発的に購入した場合は取消の対象となりません。

 以上が正規の判断基準です。
 その上で「解決方法」ですが、

(続きは、「日本流通産業新聞 1月23日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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