【ヒットの秘密】 <真逆の発想でヒット 「ハルメクの靴」> シリーズ累計販売数が5.5万足を突破(2024年8月29日号)

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「ハルメクの靴」

「ハルメクの靴」

 シニア向けの女性雑誌「ハルメク」を発行するハルメク(本社東京都、宮澤孝夫社長)が販売する「ハルメクの靴」シリーズの累計販売数が5万5000足を超えている。
 一般的に外反母趾(ぼし)の人は幅が広く、緩い靴が適していると言われている。だが、ハルメクでは、足の甲をしっかりと締め、踵を安定させることが「長く自分の足で歩く」ことには重要だと考え、理学療法士と共同で靴を開発した。足の悩みで困っているシニア女性を助け、「ハルメクの靴」シリーズの販売数増加につなげている。
 真逆の発想で商品を開発した背景には、「ハルメクの靴」を開発した責任者でもある勝谷進店舗事業部長の経験があった。
 「私は以前、外反母趾に優しい靴を販売する企業で勤務していたのだが、そのとき販売スタッフから『今はいいけど、ずっと立っていると足が痛くなる』などの声が寄せられていた。緩い靴だと足を正しい位置でキープできない。これらの経験からハルメクでは、本当に良い靴を開発しようと思った」(勝谷店舗事業部長)と話す。
 勝谷氏は19年にハルメクに転職した。宮澤社長の「顧客の頭から足先まで全身を『ハルメク』でコーディネートしたい」という思いと、勝谷氏の良い靴を作りたいという思いが重なり、ハルメクでの靴の開発がスタートした。
 商品の強みは踵を安定させ、足の甲を締め、歩行安定インソールで歩行を安定させるという機能性だけではない。実店舗の強みを生かし、足裏が地面にバランス良く接地できているかを機械で計測している。その後、定期的に来店してもらい、足の接地状態を確認し、「ハルメクの靴」を通じて、顧客が健康的に歩けることを目指している。
 「計測では、足裏に乗っているところが赤く染まる。バランスよく乗れていない人は猫背気味だったり、姿勢が悪いことが多い。だが、足裏にバランス良く乗れると、姿勢が改善されていき、若々しい姿勢に変えていくことができる」(同)と説明する。

勝谷進店舗事業部長

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