【ニュースの深層】□□160 <機能性表示食品 「2020」準拠の届出に各社苦戦> 新規届出受理激減の恐れも(2024年8月1日号)

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さくらフォレストへの措置命令でSRの不備を指摘

さくらフォレストへの措置命令でSRの不備を指摘

 機能性表示食品の届け出に、暗雲が立ち込めている。23年9月に改正された「機能性表示食品の届け出等に関するガイドライン」では、25年4月以降、新規の届け出をする場合は、システマティックレビュー(SR、研究レビュー)を、「PRISMA(プリスマ)声明2020(以下2020)」に準拠させなければならない旨を盛り込んでいる。現在、多くの事業者が、「2020」に準拠した内容での届け出に取り組んでいるが、「届け出が受理されない」といった声が多数聞かれる状態となっている。届け出が受理されない理由の多くが、「書類の不備」だといわれている。「2020」では、機能性に関する研究内容をより細かく記載することが求められており、届け出の多くがその水準に達していないようだ。ある業界関係者は、「将来的に、新規の届け出が通りづらくなる可能性がある」と話している。

■既に複数件の届出が受理

 「『2020』に準拠した届け出が、消費者庁から何度も差し戻しを受ける」と言った声が、複数の機能性表示食品事業者から寄せられている。
 消費者庁によると、「23年9月のガイドラインの改正以降、『2020』に準拠した届け出はすでに、複数件公表している」(食品表示課)と言う。
 本紙が確認したところ、丸善製薬が23年12月に届け出た「アクティボディ顆粒C」や、ファンケルが24年4月に届け出た「プレミアムカロリミット」、富士化学工業が24年4月に届け出た「アスタリールチョコ」などの複数の商品が、「2020」に準拠した内容で公表されていた。
 「2020」はそもそも、ヘルスケア領域における研究報告を統合する「システマティックレビュー」について、より厳しい基準で、研究の手法や、結果の書き方を規定したガイドラインだ。これまでの「PRISMA2009(以下2009)」に比べて、届け出の資料に記載するデータ項目をより詳細に記載することなどが求められる。
 例えば、機能性のSRの情報源について、「データベースや研究登録、ウェブサイト、組織、文献リスト、研究を特定するために調べたり助言を求めたりした情報源を記載する」ことなどを求めている。
 ある業界関係者は、「これまで『2009』では、採用した論文が示す機能性について、有意差が出た臨床結果をまとめて示せばよかった。『2020』では、有意差が出ていない臨床試験結果もすべて細かく記載することが必要とされるようになった」と話す。

(続きは、「日本流通産業新聞」8月1日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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