【千原弁護士の法律Q&A】▼409▲ 無料講座名目の”営業”では…。(2024年7月4日号)

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<質問>



 訪問販売会社を経営しています。最近、新聞の折り込み広告を見たところ「一般社団法人住まいを考える会(仮称)」名義で、屋根や外壁のメンテナンスの無料講座を、都内の貸し会議室で行うというのがありました。私は多分、来られた消費者に、別の会社からリフォームの営業をかける目的の広告なのではないかとみています。仮にそのような形での営業が可能であれば、当社でも実施してみようと思いますが、いかがでしょうか。また、「こうすれば法令違反にならない」という方法があれば教えてください。(住設訪販会社社長)

<回答> 事前告知義務を果たせば不可能ではないが



 結論として私は、ご質問の商法は問題があると思います。

 特定商取引法では、訪問販売の勧誘に当たって事前に、(1)会社名(2)営業品目(屋根や外壁のリフォーム工事といったことです)(3)勧誘目的─を明示する必要があるとしています。第三者である一般社団法人名義の無料講座のチラシで集客をして、来られた人に、関連会社がリフォームの勧誘を行うとすれば、この事前告知義務に違反する可能性が高いと思います。
 また、告知義務を果たさずに、公衆の出入りしない場所での勧誘を行うと、悪質性が高いとして、行政処分以外に刑事罰(行為者に3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、会社に1億円以下の罰金、併科)が規定されています。
 貸し会議室は、まさに公衆の出入りしない場所になりますので、参加者が被害を訴えて警察が動くと逮捕されるリスクまであります。

(続きは、「日本流通産業新聞」7月4日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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