【千原弁護士の法律Q&A】▼398▲ 営業秘密侵害、再発防止対策は?(2024年1月25日号)

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<質問>



 訪問販売会社を経営しています。先日、退職した従業員Aについて、相談をさせていただいたものです。先日の相談は、Aが担当していたお客さまから、「退職したAが営業に来ている」という情報を受け、当社の営業部員に注意喚起していたところ、ある営業部員が、Aが、お客さま宅前に止めた車中において当社の社外秘である顧客リスト等をパソコンに記録したものを見ている状況をはっきりと確認したという内容でした。この件で、警察に相談しましたが、結局取り合ってもらえませんでした。残るは民事だと思いますが、どのような手段があるでしょうか。また、再発防止のために必要な対策があれば教えてください。
              (訪販会社社長)

<回答> 入社時に必ず誓約書を取得する



 社員の横領や営業秘密の盗用などの問題は、日常的に起きています。ただ、そのような案件で警察が動くのは、レアケースであり、一般的には民事での対応が基本になると思います。

 まず、貴社として、Aから、退職後の競業避止義務(退職後に貴社と同じ業務を自ら行わず、同業者にも就職しない義務等)や、在職中に取得した顧客情報等を退職後に利用しないこと等を約束した「誓約書」を取っていないでしょうか。
 取っていれば、当該誓約書に基づく効力を主張し、Aに対し、行為の差し止め(貴社と同業を行うこと自体の禁止や顧客情報の利用の禁止)や損害賠償の請求を行うことが考えられます。
 ただし、

(続きは、「日本流通産業新聞」1月25日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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