【千原弁護士の法律Q&A】▼394▲  ”カスハラ”に企業としてどのような対策が必要か?(2023年11月09日・16日 合併号)

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<質問>


 会員制でサロンを利用した販売を行っています。会員以外の顧客が来店することもあります。最近、カスハラという言葉をよく聞くようになりましたが、当店でも、「無理な要求をする」「しつこい」「長時間にわたっての接客が必要」「何度も商品の交換を要求してくる」など、困ったお客さまがおられます。企業としては、どのような対応が望まれ、また対策が必要か、教えてください。(サロン販売会社社長)

<回答> 企業自体の防衛からもカスハラ対策は大事
 


 クレーマー的なお客さまは昔から存在しますが、不当な要求や過剰な要求を意味する「カスハラ(カスタマーハラスメント)」は、主に「企業サイドとして、従業員保護の観点から対応が必要」という意味合いで用いられていると思います。

 2023年6月20日の厚労省専門委員会の検討では、カスハラでうつ病などになった場合、労災として扱う基準が提示されたことが公表されました。これは、会社がカスハラに対する必要な対策を取らずに従業員がうつ病などになった場合、従業員から損害賠償請求をされる可能性があることを明確に示しています。
 従業員の心身の健康を守り、健全に店舗運営を行う目的はもちろん、企業自体の防衛からもカスハラ対策は大事です。

 私の経験では、極端なカスハラをする人は、最初から悪意であるか、病的なタイプであるケースですので、自然に収まることはなくエスカレートするだけです。
 そこで、通常の対応ではカスハラが収まらないときは、速やかに、いわゆる出入り禁止通告、取引を行わない通告を行うことも検討することになります。
 その場合、規約上の根拠があると、説得力のある通告が可能になります。

 私が貴社のような会員制の店舗等に提案している「カスハラ防止条項」は、

(続きは、「日本流通産業新聞」11月09日・16日 合併号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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