【千原弁護士の法律Q&A】▼390▲ 引き抜いた社員の元の会社からの雇用契約取り消し内容証明、対応策は?(2023年9月21日号)

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<質問>



 当社では、競業会社であるA社のエース格の社員Bの引き抜きに成功しました。ところが、A社から当社宛に、弊社とBとの雇用契約を取り消すように求める内容証明郵便が送付されてきました。A社とBとの間に、「退職後に競業他社に就職しない」という内容の誓約書があるというのが、その理由だということです。また、応じない場合は、法的な手続きに及ぶという内容も書かれていました。内容証明郵便のこうした要求について、どのように考えたら良いでしょうか。注意点などあれば、教えてください。(訪問販売会社社長)

<回答> 会社間での法的な効力はない


 
 まず、仮にBが、A社に対して提出した誓約書が存在したとしても、その効力が及ぶのは、A社とBの間だけです。誓約書に関わっていない貴社が拘束されることはありません。

 私も、採用した従業員の転職元から、ご質問のような警告書等が送られてきたという相談を、転職先の企業からよく受けますが、基本的には「ブラフ」であり、法的には理由がないものです(元会社もそれを承知で嫌がらせ的に行うことが多いです)。
 転職元からの警告書面は、代理人弁護士名ではなく(弁護士は倫理上、理由のない請求ができないため)、転職元の会社自身の名義で送付される例が多いです。

 貴社としては、当該通知を無視することもできますし、あるいは、「当社は誓約書の拘束を受ける理由はなく、そのような不当な請求をしないように」と、逆に警告書を送付するような方法も考えられます。
 注意点ですが、

(続きは、「日本流通産業新聞」9月21日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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