【千原弁護士の法律Q&A】▼385▲ 米国在住の友人、日本の特定商取引法の適用があるか?(2023年7月6日号)

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〈質問〉

 ネットワークビジネス(NB)主宰企業の法務担当です。二つ質問があります。(1)NPO法人について、連鎖販売取引の会員登録を認めることは可能でしょうか。(2)当社の会員が、米国在住の友人を勧誘する場合、日本の特定商取引法の適用があるのでしょうか。もしくは米国法の適用があるのでしょうか。(NB企業法務担当者)
[本文]
〈回答〉 日本と米国、どちらの取引法も適用

■いずれも顧問会社さまからよく受ける質問です。

 (1)NPO法人や社会福祉法人のような非営利法人であっても本業に支障のない範囲で収益事業を行うことは可能です。
 従って、連鎖販売企業側のコンプライアンス事項として、登録を受けることについては、特に問題ないと思います。
 なお、相手方のコンプライアンス事項ではありますが、定款または法人登記簿を提出してもらい、当該法人が連鎖販売活動などを行うことに問題がないか(事業目的に含まれるか)を念のため確認するのも一つの方法でしょう。疑問がある場合はその点の説明を求め、問題ないと判断できた場合のみ登録を受け付けるという選択肢もあると思います。
 ちなみに、会員が法人である場合には、連鎖販売の規制は、基本的にかからないので、この点でも、会社側にはリスクがない事項となります。

 (2)こちらは、(1)日本の規制、(2)米国の規制の双方を考える必要があります。まず、(1)について、特商法において、日本国内の活動に限定して適用される旨の条項はありません。この点、訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売(特商法26条1項1号)、特定継続的役務提供等契約(特商法50条1項1号)が、国外を対象とした取引について適用除外規定を設けていることとは異なります。

(続きは、「日本流通産業新聞」7月6日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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