【千原弁護士の法律Q&A】▼378▲ クレジットカードの不正利用対策は?(2023年3月16日号)

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<質問>


 当社はネットショップで高級化粧品を販売しています。今回、当社のショップを利用したことがないはずなのに、当社の商品の購入代金として、高額のクレジット代金の引き落としがなされている旨の連絡が、立て続けに複数の人から入りました。調査したところ、その人のクレジット情報を不正に利用しての買い物であることが判明しました。当社の商品は、既に注文時に指定された住所に配達済みです。クレジット会社からは、今回の不正取引の代金を、チャージバックとして返金するよう請求されています。また、商品の配達先住所を調べたところ、レンタルオフィスであり、当時の人とは連絡が付かない状況になっています。このままでは当社は丸損という形になってしまいますが、諦めるしかないのでしょうか。またこのような問題を防ぐ良い方法はないでしょうか。
              (化粧品EC会社社長)

<回答> マニュアル作成しセキュリティー強化を


 ここ数年、私の顧問会社から、同じような相談をよく受けます。結論として、ご質問のような案件では、販売会社側が泣くしかなく、会社の商品分の被害を取り戻すことは困難です。
 いわゆる「取り込み詐欺」を行う犯罪集団による仕業だと思います。

 「手口」としては、他人のカード情報を不正に入手し、その他人名義で、ネットショップ等で換金性のある商品を購入します。そして、商品の受け取り場所として、ウィークリーマンションなど、ほんの一時的に利用できる場所を指定します。
 この際、1社だけではなく、複数のネット販売を行う会社をターゲットにして商品を注文します。
 そして、短期間で、注文をした商品を受領すると、すぐに行方をくらましてしまいます。
 明らかな詐欺なので、警察が本気で捜査すれば、摘発できそうですが、私の知る限り、犯人が捕まったような話は聞きません。
 販売会社とクレジット会社との契約上、このような不正発注の場合、クレジット代金は支払われない内容になっており、販売会社がリスクを負担します。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月16日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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