【千原弁護士の法律Q&A】▼370▲ 定価と会員価格の具体的な提示は問題か?(2022年11月17日号)

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

<Q>


 ネット通販での商品の価格表示について、アドバイスをいただければと思います。当社は現在、会員専用サイトにおいて、「会員価格」として、商品に表示されている定価(当社が独自に設定したもの)より安く販売しております。購入した会員は、自分で商品を愛用するケースが多いですが、最近では、会員が消費者に小売りし、定価または定価に近い価格で販売するケースも増えてきました。そこで、当社のウェブサイトの商品価格表示を「定価2000円のところ、会員特別価格1500円」という形で、具体的に提示したいと考えておりますが、問題はございませんでしょうか。   (ネット通販会社社長)

<A>二重価格表示は有利誤認の可能性も


 ご質問の件は、景品表示法の有利誤認類型への抵触性が問題になります。この点、消費者庁が公表している「価格表示ガイドライン」では、次の通り解説されております。
 ~他の顧客向けの販売価格を比較対照価格とする、以下のような「二重価格表示」は、不当表示に該当するおそれがある。ア 会員制の販売方法において非会員価格を比較対照価格に用いる場合、容易に会員になることが可能であって、その価格での購入者がほとんど存在しないと認められる販売価格を非会員価格として比較対照価格に用いること。(事例)A宝飾店が、「K18 ダイヤモンドピアス 非会員価格5万円 会員価格2万4980円」と表示しているが、実際には、購入を希望する一般消費者は誰でも容易に会員となることができ、非会員価格で販売されることはほとんどないとき~

(続きは、「日本流通産業新聞」11月17日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

千原弁護士の法律Q&A 連載記事
List

Page Topへ