【千原弁護士の法律Q&A】▼369▲ 開運グッズ販売等の営業トーク、許容範囲は?(2022年11月3日号)

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〈Q〉

 宣伝講習販売会社を経営しています。販売員が直接、お客さまにご案内する形で多くの商品を販売しています。当社の商品の中には、数珠や観音像などの宗教関連の商品や、いわゆる開運グッズが含まれています。最近、旧・統一教会の霊感商法に関する報道がなされ、現場を確認したところ、(1)お客さまの悩みを聞いた上で、「この商品であれば『ご利益がある』」(2)生まれ年などを聞いて、「その年回りであれば『この商品がお勧め』」(3)「この絵皿を飾れば『縁起が良い』ですよ」─などのトークが行われていることが分かりました。営業トークを全くしなければ、数珠などの販売を行うこと自体に問題はないと思いますが、どのあたりまでのトークが許されますか。(宣伝講習販売会社社長)

〈A〉 ご利益を断定するトークは規制に該当

 最近話題の霊感商法を規制する法律としては、消費者契約法4条3項6号(霊感等による知見を用いた告知)による取消権があります。これは、(1)霊感による知見によって(2)そのままでは消費者に重大な不利益が生じるとして不安をあおることに加えて、(3)当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げること─が要件です。
 従って、単に「ご利益がある」、「縁起が良い」というレベルのトークは上記の要件に該当せず、貴社の販売方法は基本的にセーフだと思います。

 ただし、トークの具体的な内容がたとえば、お客さまの悩みを聞いた上で、「あなたの将来を占った結果、あなたに近い将来不幸が起こる、この商品を買えば間違いなく不幸を回避できる」までエスカレートすれば、上記規制に該当すると思います。

(続きは、「日本流通産業新聞」11月3日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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