【千原弁護士の法律Q&A】▼361▲ サロンでの健康アドバイスは問題あり?(2022年7月7日号)

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〈質問〉

 当社は会員制でサプリメントの販売を行っています。今回、当社の会員専用のサロンを作るプランが持ち上がっています。サロンでは、体組成計で会員の体重や体脂肪などを測定し、栄養指導や健康についてのアドバイスをしながら製品販売につなげようと考えています。このようなことは、法律上、許されるのでしょうか。また、仮にサロンの使用やアドバイスについて、有料とした場合、問題があるでしょうか。社内では医師法などの問題があるのではないか?と指摘する声も出ています。白衣を着てサプリメントを販売した業者が逮捕された事件が以前あったとも聞いており、慎重に対応したいと思っています。(サプリメント販売会社社長)

〈回答〉 傷病予防などのアドバイスは違法に
 
 まず、医師法ですが、医師しかできない「医行為(医療行為)」が規制の対象となります。「医行為」は、最近の最高裁の判例(最判令和2年9月16日)で、「医療及び保健指導に属する行為のうち、医師が行うのでなければ保健衛生上危害が生ずるおそれのある行為」とされています。要は、医師が行わなければ危険な行為、と定義されているのです。
 一般的な解釈としては、「傷病」の「治療」「診断」「予防」に関する行為となります。

 貴社のプランは、傷病の治療や診断には該当しませんので、「傷病の予防」に関するものでなければ、単なる栄養指導等となり、「医行為(医療行為)」に当たらず、問題ありません。
 ただし、例えば「カロリー摂取量が多いと、糖尿病や高脂血症となるため、それを予防するため、カロリー摂取量を調整して、この商品を摂りましょう」というようなアドバイスをすれば、それは医師法に抵触します。

 また、このような「医行為(医療行為)」を業として行うことを広告すれば、同時に医療法の広告規制にも抵触します。

(続きは、「日本流通産業新聞」7月7日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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