【千原弁護士の法律Q&A】▼358▲ 改正個人情報保護法の留意点は?(2022年5月26日号)

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〈質問〉

 今年の4月に施行された改正個人情報保護法についての質問です。当社は外資系企業で、ネットワークビジネス(NB)を展開しています。NB事業と通販事業において、今回の改正法で留意すべき点がありましたらアドバイスいただけますでしょうか?(NB企業法務担当者)

〈回答〉 会社のプライバシーポリシー修正の必要も

 下記は網羅的に関連する改正内容をご説明するものですが、NBに限らず、通販等の消費者への直販業態には全て当てはまります。
 改正法に応じて個人情報の管理体制を整備した上で、これに対応した形で会社のプライバシーポリシー(以下PPとします)を修正等する必要があるでしょう。

 まず、【1】個人データの利用停止、消去等の請求について、(1)利用する必要がなくなった場合(2)重大な漏えい等が発生した場合(3)本人の権利または正当な利益が害される恐れがある場合─にも応じる義務が生じました。
 改正前は、第三者提供の停止ができるのは、目的外利用の場合と、不正取得の場合、第三者提供義務違反の場合に限定されていました。改正法で上記が拡充されたので、PPへの追加が必要です。

 また、【2】保有個人データの開示方法について、メールなどの電磁的記録の提供を含め、本人が指示できるようになりました。
 PPなどに開示請求の方法として記載し、本人が簡単な操作によって該当箇所へ到達でき、円滑に請求などを行えるようにしましょう。消費者へのメールでの提示体制を整備することです。

 【3】以下に挙げるような漏えい等が発生し、個人の権利利益を害するおそれが大きい場合には、個人情報保護委員会への報告と、本人への通知が義務化されました。
 「要配慮個人情報の漏えい等」「財産的被害のおそれがある漏えい等」「不正の目的によるおそれがある漏えい等」「1000件を超える漏えい等」です。
 これに対応した会社体制が必要です(情報漏洩に関連する義務について1000件という目安ができました)。

(続きは、「日本流通産業新聞」」5月26日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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