【千原弁護士の法律Q&A】▼356▲ イベントでのセミナー販売は特商法の「訪販」に当たるか? (2022年4月21日号)

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〈質問〉

 当社は、セミナー事業やイベント事業を行っています。参加するのは会員が中心です。イベントでは、ブースを設けて、次のセミナーやイベントの申し込みを受け付けたり、新商品の販売を行ったりしています。今回、ブースでセミナーを申し込んだお客さまについて、消費生活センターが介入した案件がありました。ブースでのセミナーの販売は、訪問販売に当たり、当社は契約書面を交付していないので特定商取引法違反であるというのが先方の言い分です。クーリング・オフに基づいて全額返金せよ、と主張されています。お客さまはセミナーを既に受講されています。そのような主張が成り立つのでしょうか。また、ブースにおいて、セミナーの勧誘ではなく、物販を行った場合はどうなるでしょうか。(セミナー・イベント会社社長)

〈回答〉 イベントブースでのセミナー販売は規制対象に

 まず、特定商取引法の訪問販売規制は、一般的な店舗(コンビニなどが典型)での取引には適用されません。
 特定商取引法は、そのほかに、「(イ)露店、屋台店その他これらに類する店」「(ロ)店舗に類する場所」での取引も規制対象外としています。

 しかし結論を言うと、イベントで、セミナー等の勧誘を行うブースは、一般的な店舗には当たりませんので、(イ)(ロ)にも該当せず、訪問販売規制の対象となります。
 従って、消費生活センターが主張するとおり、訪問販売の契約書面を交付していなければ、全額返金に応じる必要があるということになります。

 以下に、(イ)(ロ)の詳しい定義などを含め、特商法の規定について説明します。

(続きは、「日本流通産業新聞」4月21日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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