【千原弁護士の法律Q&A】▼352▲ 特商法の規制適用要件とは? (2022年2月17日号)

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

〈質問〉

 企業の法務担当者です。当社はネットワークビジネス(NB)会社なので、特定商取引法の連鎖販売のコンプライアンスに対応しています。ところで、他社から採用した法務担当者から、当社の会員が行う小売行為について、「訪問販売のコンプライアンスを守る必要がある」との指摘がありました。特商法の規制対象業種には多くの種類があることは理解していますが、これらは、どのように適用されるのでしょうか。当社のようなNB会社でも、訪問販売などの別の特商法規制の適用もあるのでしょうか。(NB企業法務担当者)

〈回答〉 規制は重複適用されるので十分な注意が必要

 ご質問の点ですが、よく誤解がある部分です。特商法については、「一つの規制の適用があれば、他は適用されない」ということはありません。二つでも三つでも、適用要件を満たせば、全てが適用されます。

 貴社のご質問のケースで言えば、「貴社が会員を募集」する部分では、連鎖販売規制の適用があり、「会員が消費者に対して小売りを行う」部分では、訪問販売や電話勧誘販売規制の適用があり得ます。
 貴社としては、会員の小売り行為に対する訪問販売(および電話勧誘販売)の規制の適用の可能性も踏まえて、制度設計をする必要があります。訪問販売用の契約書面の交付義務や、8日間のクーリング・オフなどを会員に指導する必要があるのです。

 以下、「よくある事例」をご紹介します。

(続きは、「日本流通産業新聞」2月17日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

千原弁護士の法律Q&A 連載記事
List

Page Topへ