【千原弁護士の法律Q&A】▼343▲ 遅延損害金利率は3%に改める必要があるのか?(2021年10月7日号)

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〈質問〉

 訪問販売会社を経営しています。当社の使用する契約書面で、消費者が決められた期日に代金を支払わない場合の遅延損害金を14.6%と記載していることについて、行政から、「特定商取引法に違反するので法定利率である3%に改めるように」との指導を受けました。行政の指導のとおり、契約書面の内容を変更する必要があるでしょうか。他の訪問販売企業の契約書面でも、3%を超える遅延損害金の記載が多々見受けられます。これらはすべて「不備書面」なのでしょうか。電話勧誘販売や連鎖販売取引会社の法定書面についてどう考えるべきかについても、併せて教えてください。(訪販会社社長)

〈回答〉 不備書面として行政処分の対象とはならないが…

 ご質問の件ですが、訪問販売は特定商取引法10条2項に、電話勧誘販売は法25条2項に、それぞれ規定があり、消費者の代金支払いの遅延の場合に、請求できるのは不払い額に「法定の利率」(現在の利率は2020年4月施行の改正民法によって規定された3%)を加算した額までとされています。したがって、14.6%など、現在の法定利率である3%を超える遅延損害金の記載を行うと3%を超える部分は「無効」ということになります。

 「無効」というのは裁判で14.6%の遅延損害金を請求しても、3%までの損害金しか認められないということです。
 ただし「不備書面か?」というと、この規定は条項を無効とするだけなので、不備書面として行政処分の対象となる等のことはないと考えられます。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月7日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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