【千原弁護士の法律Q&A】▼339▲ 特商法改正で今から準備すべきことは?(2021年8月19日号)

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〈質問〉

 特定商取引法に関連する事業を展開しています。今回、特商法が改正になり、業界にとって重要な(1)法定書面の電子交付(2)クーリング・オフの電子化─が決まったと思います。これについて、今からどのような準備をしておけばよいでしょうか。教えてください。(特商法関連事業会社社長)

〈回答〉 来年6月施行を念頭に、今は体制作りを

 6月9日、いろいろと議論をされていた特商法改正案がついに成立しましたね。「企業側にもメリットのある改正」であり、特商法改正の歴史の中でも「初めて」といえるのではないでしょうか。批判が多かった「法定書面の電子交付」が可能となったことは、評価できます。

 改正法の施行時期は、法定書面の電子交付を除いて、成立日から1年以内(2022年6月8日まで)とされています。

 今回の改正では、会社が交付しなければならない契約書面等(連鎖販売取引における概要書面を含む)について、消費者の承諾を得ることを前提に、電磁的方法(電子メールの送付等)で行うことが可能になります。
 また、消費者からのクーリング・オフの通知について、電磁的方法(電子メールの送付等)で行うことも可能になりました。
 「法定書面の電子交付」については、2年後を目処に施行されます。消費者の承諾を得た場合には、電磁的方法(すなわち電子ファイルを電子メール等で送信する方法や、PDFによる電子契約)でも可とすることが認められます。

 消費者の承諾の要件については今後、政令や省令で定められることになります。

 議論が多い法律なので、おそらく施行されるのは早くても2023年6月でしょうし、最も肝心な「消費者の承諾」要件の内容が分からないので、現時点で対策を講じようがない、と思います。
 最悪の場合、「消費者の承諾には紙媒体の書面が必要」という内容になる可能性もあります。その場合は、導入のメリットから検討することになるでしょう。
 つまり、政令等が公表された段階で具体的な対策に着手するしかないと思います。また、「書面の電子交付に紙媒体の書面の承諾が必要」といったことになった場合は、法律が施行されても、これまでどおり紙媒体の交付を続ければ、おそらく何も問題がないと思います。

 続いて、クーリング・オフ通知の電子化について解説しましょう。

(続きは、「日本流通産業新聞」8月19日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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