【強い通販化粧品会社になるために~基礎講座Q&A】◇71◇ お金がかかる紙媒体をやめて、ウェブに移行したい

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〈Q〉

 今まで紙のDMや会報誌を作っていましたが、印刷費や送料がかかることもあり、今後はやめようと思っています。また、会報誌は直接売り上げに貢献していないように見えるし、社内のリソースも足らず、最近のお客さまは紙媒体など読んでいないのでは、と思っています。(中堅の通販化粧品会社)

〈A〉 紙媒体の力は健在相乗効果を狙って

 まず結論から言うと、紙とウェブの両方をやるべきです。通販事業の売り上げ拡大には、オフラインとオンライン、両方のコミュニケーションを組み合わせて相乗効果を狙うのが鉄則です。
 事業規模が小さいうちは、ウェブ媒体のみで新規顧客を獲得することが多いですが、商品送付時にブランドの世界観や商品情報を伝える同梱ツールは必須です。特に女性の美しくなりたいという欲求に応えるスキンケア商材は、商品を使うことによって実現する未来のゴールイメージを提示しないと使い続けてもらえません。
 ある程度、新規顧客が獲得できるようになったら、ロイヤル顧客を増やすために会報誌などのコニュケーションツールを始めるタイミングです。印刷効率などを考えると顧客数が3000人を超えたくらいでスタートするとよいでしょう。ただし、紙媒体だけ、ウェブだけ、というバラバラのコミュニケーションでは、お金をかけてもそれに見合った効果を得られません。両方の媒体を組み合わせることで、双方の特性が生かせるのです。


◆紙DMでCTR、CVを向上

 紙媒体とウェブの相乗効果については、各種の調査結果でも明らかです。同じターゲットに対して「紙のDMだけを送る層」「メールだけを送る層」「紙のDMとメールを組み合わせて送る層」で比較検証したところ、「メールだけ」「紙DMだけ」よりも「紙DM+メール」の方が、クリック率が高かったそうです(日本郵便調べ)。
 また、別の調査ではCV率についても違いが出ました。紙のカタログを送付した場合とメールでデジタルのカタログを送付した場合では、LPサイトへのCTRにはそれほど大きな差は出なかったが、CVには大きな差があったそうです。
 紙のカタログを送付したお客さまは、デジタルカタログを送付したお客さまに比べ、17倍以上のCVとなったとの結果が出たそうです(日本郵便調べ)。このことから、紙のカタログを受け取ったお客さまは、購買意欲が比較的高い状態でLPにアクセスしていたと推測できます。
 このように、今でも紙のDMが、お客さまの購買行動を後押しする大きな力を持っていることは確実です。


◆紙コストは顧客ランクに応じて

(続きは、「日本流通産業新聞」」4月22日号で)

〈プロフィール〉
 鯉渕登志子(こいぶち・としこ)氏 アパレル業界団体、カネボウファッション研究所を経て(株)フォー・レディーを設立。化粧品通販を中心に「女性のための女性による広告制作」を手掛けている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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