【千原弁護士の法律Q&A】▼330▲ 連鎖販売取引の広告の注意点は?

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

〈質問〉

 連鎖販売取引企業の法務部を担当しています。「より訴求力のある広告」を出したいと考えており、広告内に、「当社会員になった場合に、どれくらいの利益が得られるか?」という、シミュレーションの図表を加えることを検討しています。連鎖販売取引の広告には、会社情報や特定負担、特定利益の計算方法などの法定事項を記載する必要があることは理解していますが、その他に注意点はないでしょうか?(ネットワークビジネス企業法務担当者)

〈回答〉 具体的利益の表示は断念が無難

 ネットワークビジネス(NB)の広告において、具体的に得られる報酬金額を出す場合、単に広告の法定記載事項を付けるだけではなく、下記に説明するような要件を満たす必要があります。

 特商法施行規則(省令)26条第2項3号では、「特定利益の指標を表示するときは、その指標と同等の水準の特定利益を実際に収受している者が(中略)多数を占めることを示す数値を表示するなど、特定利益の見込みについて正確に理解できるように、根拠または説明を表示すること」と規定しています。例えば「年間○百万円の収入が可能」「私は月○十万円の収入を得ています」といった表示をする際には、「実際に販売員の中で、それと同等の額の特定利益を得ている者が多数を占めることなど、事実に基づく根拠を示し、実際以上に高収入が得られるかのような見込みを持たせないようにしなければならない」と解説しています。

(続きは、「日本流通産業新聞」」3月18日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手掛けてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

千原弁護士の法律Q&A 連載記事
List

Page Topへ