【千原弁護士の法律Q&A】▼322▲ 代理店権利を販売するスキームは適法に行えるか?

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〈質問〉

 新たにビジネスをスタートする予定の者です。まず、物販をせずに、弊社の代理店としての権利((1)当社が提供するサービスを消費者に販売した際にマージンが支払われる(2)傘下の代理店を募集し獲得した際に利益が還元される)を得るに当たって、入会金をいただく仕組みを考えています。傘下の代理店を勧誘した場合、多段階で利益が分配される仕組みにします。それだけでなく、末端の消費者への売り上げからも、所定のパーセンテージを分配する形を考えています。このような、物販ではなく、代理店権利そのものを販売するようなスキームや、売り上げを分配するスキームを、それぞれ適法に行うことはできるのでしょうか。また、こうしたビジネスは、特定商取引法の連鎖販売取引の規制を受けるという認識で間違いないでしょうか。さらに連鎖販売規制を受けずにビジネスを行うことはできないでしょうか。携帯電話の販売代理店などは似たところがありますが、規制は受けていないように思います。(新規ビジネス立ち上げ予定者)

〈回答〉 かなり複雑な法的検討が必要に

 結論として、予定されているビジネスを適法に行うことは可能ですが、かなり複雑な法的な検討が必要となります。

 まず入会金の支払を受け(特定負担)、多段階で利益を分配しますので(特定利益)、特定商取引法の連鎖販売規制を受けると思います。
 なお「代理店権利を対象とする連鎖販売」を行うことは、もともと法律で予定されており可能です。
 ただし、権利や役務(サービス)を対象とする連鎖販売取引は、物販型と比較して、中途解約ルールがはるかに厳しいので注意が必要です。90日ルールや、入会後1年、あるいは90%までの返金という制限はなく、永久に中途解約に応じる(入会金を返金する)必要があります(リゾート会員権等のみ例外的に物販と同じ扱いを受けます)。

(続きは、「日本流通産業新聞」11月26日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手掛けてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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