【千原弁護士の法律Q&A】▼321▲ 「概要書面は全ての人に交付する必要はない」は間違いないか? [前文]

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

〈質問〉

 ネットワークビジネス(NB)会社ですが、先日、全国直販流通協会のウェブセミナーで、先生のお話をうかがいました。それについての質問です。先生は、「概要書面は、入会した人だけに交付すれば良く、勧誘した全ての人に交付する必要はない」と言われていましたが、本当にそれで間違いないでしょうか。当社では、オンラインでのセミナーや登録を進めており、概要書面は、申し込みがあった人だけに送付するようにしようと思っています。また、ビジネスをしない愛用者会員にも概要書面は交付しなくて良い、と理解しています。それぞれ間違いないでしょうか。(NB会社社長)

〈回答〉 ウェブでの入会も申込後の書面送付で問題なし

 ご理解のとおりで大丈夫です。特定商取引法において、概要書面の交付は、「連鎖販売取引の入会契約を締結するまで」とされています。つまり、勧誘したものの、結局、入会しなかった人に対する交付義務はありません。

 多くのNB会社では、概要書面を渡して示しつつ説明することを義務付けています。こうした取り組みは、コンプライアンス上良いことだとは思いますが、法的に必要なプロセスではありません。
 最近、急激に増えている、ウェブセミナーで勧誘してウェブ上で入会してもらうケースで言えば、入会を申し込んだ人だけに、申し込み後に、概要書面を送るという形で全く問題ないと思います。

(続きは、「日本流通産業新聞」11月19日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手掛けてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

千原弁護士の法律Q&A 連載記事
List

Page Topへ