【千原弁護士の法律Q&A】▼288▲ 2学年分一括販売で「過量販売」に…。

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〈質問〉

 当社は、中高生向けの学習教材の訪問販売を行っています。2学年分一括で契約していただいた場合には、特典として、1学年分をプレゼントし、計3学年分の教材を提供するようにしています。今回、消費生活センター案件になりましたが、センターの担当者は、「過量販売だから返金するように」と主張しています。当社が販売したのは2学年分であり、1学年分は、いわばオマケなので、消費生活センターの主張は間違っていると思いますが、いかがでしょうか。(教材訪販会社社長)

〈回答〉 2学年以上販売はグレーゾーン

 ご存じのとおり、訪問販売における過量販売の基準としては、公益社団法人日本訪問販売協会から「通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安」が公表されており、消費生活センター等の行政が参照する基準になっています。
 これは、微妙な表現ですが、「この分量であれば過量販売に該当しない」という「セーフゾーン」を定めたもので、それを超えれば、直ちに過量販売とはされないものの、「グレーゾーン」に入ると思います。

 貴社の扱う「学習教材」は、「原則、1人が使用する量として1年間に10個」が、訪販協による「セーフゾーン」とされています。そう考えると、貴社の「2学年分販売」も、そもそも、完全にセーフというものではなく、グレーゾーンという考え方になります。

 続いて、貴社の「1学年分はオマケであり、過量販売の判断からは除外される」という「建て付け」も法的な評価としては、ちょっと厳しいと思います。「3学年分を一括して販売した」という事実は変わらないと思います。
 そして、訪問販売における学習教材の金額は、世間的に言えば、高額に設定されているのが通常であり(2学年分でも10万円を超えることが多いと認識しています)、そうすると、1年分オマケというのは、「単なる方便」で、実際には、3学年分の代金を「2学年プラス1学年分オマケ」という理屈で販売しているだけ、と取られてしまう可能性が高いと思います。

(続きは、「日本流通産業新聞新聞」7月4日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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