【千原弁護士の法律Q&A】▼287▲ 「医薬品等適正広告基準」の注意点は?

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

〈質問〉

 当社は化粧品の製造、販売を行っていますが、広告表現については、いつも頭を悩ませています。「医薬品等適正広告基準」が18年に基準改定されてから、ビフォーアフター写真の使用が一定の条件はあるものの、許されるようになったと認識していますが、間違いないでしょうか。この「基準」は薬機法に基づく取り決めだと思いますが、そのまま取り入れて問題ないでしょうか。その他、注意点があれば教えてください。(化粧品メーカー法務担当者)

〈回答〉 ビフォーアフター表現の条件

 「医薬品等適正広告基準」は、薬機法66条から68条の規定(誇大広告の禁止や未承認医薬品の広告の禁止等)を踏まえ、厚労省が、各都道府県に対し、広告に関する監督指導を行う際の具体的な広告表現の基準を示したものです。
 いわば、行政が広告表現について違法適法の判断を行う上での基準ですが、それに基づいて会社も指導されるものなので、基本的には法律と同じような効力を有するものと考えていただいて結構です。 

 次に、化粧品についてのビフォーアフター表現については、同基準の解説に「使用前、後に関わらず図面、写真等による表現については、承認等外の効能効果等を想起させるもの、効果発現までの時間および効果持続時間の保証となるものまたは安全性の保証表現となるものは認められない」と明記されています。
 逆に言えば、本基準により、ビフォーアフター表現について、(1)「承認等外の効能効果」を想起させない(2)「効果発現までの時間」を保証しない(3)「効果持続時間の保証」をしない(4)「安全性の保証表現」をしない─ものは、前後等の写真を使った広告が可能であることが確認されたというもので、ご理解のとおりになります。

 なお、平成30年8月8日付で事務連絡書面「医薬品広告に係る適正な監視指導について(Q&A)」が出され、ビフォーアフター写真の使用について「認められる事例」と「認められない事例」が具体的に記載されております。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月20日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手掛けてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

千原弁護士の法律Q&A 連載記事
List

Page Topへ