【千原弁護士の法律Q&A】▼286▲ クレーム件数を減らすために必要なことは?

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 当社は、ネットワークビジネス(NB)の主宰会社ですが、数年前に自治体から行政指導を受けており、2度目はないものと考えています。当然、PIO―NET調査を続けていますが、どうしても消費生活センターに寄せられるクレームの件数が減らず、早急になんとかしなければなりません。会社と会員において、どのような点に気をつけて対応する必要があるでしょうか。(NB主宰会社社長)

〈回答〉 「無理な勧誘」などのリスク理解を

 一般的に、消費者との関係で、(1)不安感、不信感を持たれる(2)怒りを煽る(3)キャンセルしたい動機がある取引(多くは支払が苦しい、金を取り戻したい)─というのが、センターへの相談につながりやすい三大要素だと思いますので、これを防ぐことがポイントとなります。訪問販売、電話勧誘販売も考え方は同じだと思います。
 まず、会員(販売員)には、以下に挙げるケースがいかに危険かを分かっていただくことが大切です。

 (1)「リクルートに当たって無理をする」
 乗り気ではない人を強引に入会させようとすると、入会に迷う段階で、センターに会社の評判を問い合わせます。また、入会にこぎ着けても、クーリング・オフを考え、その方法を消費生活センターに相談します。特に「気に入らなければクーリング・オフや中途解約をすれば良い」という勧誘方法はセンター相談を招く典型的な悪い勧誘方法です。

 (2)「クーリング・オフや退会希望の人を思いとどまらせる説得をする」
 これも同様に危険でしょう。

 (3)「不満のある人を、会社のお客様相談室に連絡させないようにする」
 こうした行為は、センターへの相談に直結します。

 (4)「ビジネスが無理そうな若い人や、あるいはお年寄り、年金生活者、あるいは家族が反対している人をリクルートする」
 こういうことをすると、家族などからのセンター相談を招きます。センターは、「本人からのクレーム」より、家族などからのクレームの方が、「さらに問題がある」という判断をするケースが多いです。

 (5)「支払に困るような商品購入をさせてしまう」
 こういう勧誘をした場合、センターに相談が行く理由のかなり多くは、「支払に困って」「生活に困って」「キャンセルしたい」というものです。たとえ入会時に納得していたとしても、無理なく続けられるような商品やプランをお勧めすることの重要性を、会員に分かっていただく必要があります。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月13日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手掛けてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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