【千原弁護士の法律Q&A】▼281▲ 社員への退職勧告で労働組合から団体交渉要求が。

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

〈質問〉

 当社の中堅社員Aについての相談です。Aは業務上のミスが多く、注意しても改善されないどころか、反抗的な態度を取るなど問題が多いことから、会社側において、強く退職を勧告していました。そうしたところ、労働組合Bユニオンという、聞いたことがない団体から、いきなり「不当労働行為とパワハラが行われているので、団体交渉を要求する」として、一方的に日時を指定する文書が送られてきました。当社としては、このような団体と交渉するつもりはないのですが、このまま無視することに、問題はないでしょうか。また、応じなければならない場合は、交渉に応じる上で気を付けるべき注意点も教えていただければと思います。特にAに対しては、どのように処遇したら良いでしょうか。(訪販会社社長)


〈回答〉 団体交渉に応じないと罰則受ける可能性も

 結論を言うと、無視することはできませんし、団体交渉に応じる必要があります。

 労働法では、会社は、従業員から団体交渉(以下団交)を要求された場合には、これに応じる義務があるとされています。そして、Bユニオンのような外部団体(一般に、合同労組と呼ばれます)が団交を要求する場合も、会社内の労働組合と同じく、交渉に応じなければなりません。
 仮に拒絶した場合は、不当労働行為として、労働委員会から、誠実に団体交渉に応じることを命ずる救済命令が発せられ、当該命令に従わないと一定の罰則を受ける可能性があります。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月21日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、130を超える企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、また、数多くの大規模企業再生・倒産事件を手掛けてきた。業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

千原弁護士の法律Q&A 連載記事
List

Page Topへ