【ニュースの深層】□□88 〈厚労省、オンライン服薬指導に保険適用〉/処方薬通販解禁に前進

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 厚生労働省は7月18日、国家戦略特区で解禁しているオンライン服薬指導について保険適用とする方針を明らかにした。特区外での運用についても検討を進めている。オンライン服薬指導が広まれば、処方薬も広くネット通販で購入できるようになる可能性がある。ただ、特区で実施しているオンライン服薬指導では、条件が厳しく、利用者はかなり限定される。今後、どのように制度設計されるかに注目が集まる。

■進む規制緩和

 服薬指導とは薬剤師が医師の処方箋を基に薬を調剤する際、薬の正しい使用法などを伝える行為のこと。服薬指導は対面での実施が義務付けられており、処方薬のネット販売規制においてこの法制度が一つのネックとなっていた。
 国は遠隔診療を推進する観点からオンライン診療の規制緩和を進めている。ただ、診療をオンラインで実施しても、服薬指導が対面限定だと利用者の利便性に欠けるという点が議論となっていた。国は規制改革会議での議論に基づき、6月に国家戦略特区でのオンライン服薬指導を条件付きで認める方針を示した。


■厳しい利用条件

 現在、福岡県や愛知県、兵庫県養父市の一部でオンライン服薬指導が実施されている。特区にいる患者は、スマホなどでオンライン診療を受けた後、医療機関から処方箋が薬局に送付され、スマホで服薬指導を受けた後、配送で薬を受け取ることができる。
 厚労省は7月18日、諮問機関である中央社会保険医療協議会にてオンライン服薬指導の保険適用についての意見書を提出。特区外でもオンライン服用を実施できる環境整備も進めていく方針だ。
 ただ、現在、特区で実施しているオンライン服薬指導は条件が厳しい。愛知県では、患者の居住地から16キロメートル圏内に調剤薬局がないことや、緊急時に30分で行ける範囲に医療機関があることなどが利用条件として規定している。利用できる薬も制限されており、大半の処方薬利用者は適用外になる。
 今後もオンライン服薬の規制緩和は進む見通しだ。これにより処方薬を通販のような形式で購入できるようになるだろう。その際にどのような利用条件が付くのかは不明だ。利用者目線に立った制度設計が望まれている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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